IOCと大会組織委員会などは今後4週間をめどに東京五輪・パラリンピック開催へ向けた“シナリオ”を検討する。新型コロナウイルス感染終息の見通しが立たない中、「中止」は議題に上っていない。現実的なのは「延期」のシナリオだろう。開催時期は数カ月ずらす年内、1年後の夏、2年後の夏が候補に挙がるが、それぞれに難しい問題が横たわる。

 「どの程度の延期になるかは、そもそも延期するかも含めこれから。すべての可能性が開かれている」。組織委の武藤敏郎事務総長は23日の会見で、延期する場合の開催時期について明言しなかった。

 IOCによると、現時点で57%の選手が東京五輪出場権を獲得。「選手第一」を考えれば、彼らの権利を生かす年内開催がベストだろう。新型コロナウイルス感染の終息が前提になる。

 1年後の夏は競泳と陸上の世界選手権がある。サッカーも今夏開催予定だった欧州と南米の大陸選手権が6〜7月に移動した。2年後は2月に北京冬季五輪、11〜12月にサッカーのワールドカップがあるものの、夏に組み込む余地は残る。

 一方、代表選考はやり直しとなる可能性が高く、混乱も予想される。

 世界陸連は22日、IOCの延期検討を支持する声明を発表。米国水泳連盟は20日、同国のオリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)に1年延期を働き掛けるよう要請した。

 森喜朗会長は延期時の課題に会場と追加経費を挙げた。日程を変更しようにも予約済みの会場があれば補償を伴う交渉が必要。大会後にマンションとして引き渡される選手村、関係者用に確保したホテル、3千人を超える職員の人件費などをどうするのか。延期幅が大きいほど経費はかさむ。

 これら膨大な課題を4週間で整理し、決断しなければならない。「7月24日開幕に向けて6年間積み上げてきた作業を、ある意味もう1回やる部分もある」。武藤氏の言葉は組織委だけでなく、世界のスポーツ界や放送局、協賛社全体に求められる作業でもある。(森本利優)