【洲本5人刺殺】2度の精神鑑定…責任能力どう判断、22日判決

 兵庫県洲本市で平成27年3月、男女5人が刺殺された事件で、殺人などの罪に問われた無職、平野達彦被告(42)の判決が22日、神戸地裁(長井秀典裁判長)で言い渡される。最大の争点は、公判前に2度の精神鑑定が行われた被告の事件当時の精神状態。完全責任能力があるとして死刑を求刑した検察側に対し、弁護側は心神喪失による無罪か心神耗弱による減刑が相当としている。

 平野被告は公判で、5人を刺殺した事実は認めながらも、「殺人を犯すように脳を支配された状態だった。本当の被害者は私で、冤罪(えんざい)だ」と訴えた。

 こうした主張について、出廷した鑑定医2人はいずれも向精神薬の服用による精神障害はあるとしながらも、犯行は正常な判断のもとで行われたと証言。だが、被告は鑑定結果に異議を唱え、「精神医学は科学というより文学に近い。薬剤投与により依存者を増やし、でたらめの診断をしている」と自説を展開した。

 検察側は論告で、完全責任能力があったことを前提に、落ち度のない5人を次々と殺害した結果の重大性から極刑を求めた。一方、弁護側は最終弁論で「向精神薬の服用に伴う精神障害のため、被害者らから電磁波攻撃を受けたと思い込んでいた」と反論している。

措置入院患者の退院後のケア課題

 平野達彦被告は事件前、精神障害により周囲に危害を加える恐れがあるとして、2度にわたり措置入院。事件は退院後、関係機関が転居先を把握できずに治療が中断されている中で起こった。昨年7月に相模原市で起きた障害者施設殺傷事件で殺人などの罪で起訴された男も措置入院歴があり、退院後の継続的な治療のあり方が課題となっている。

 事件を受け、兵庫県が設置した有識者による県精神保健医療体制検討委員会は「関係機関の情報共有が不十分で、医療の中断に対して適切に対応できなかった」と指摘。提言を受けた県は28年4月、行政と医療機関、警察が情報を共有する連絡会議や、措置入院解除後に患者が地域で孤立しないようサポートする「継続支援チーム」を設置した。医師や保健師らが症状の変化や日常生活に支障がないかを定期的に確認し、社会復帰を支援する仕組みだ。

 一方、政府は再発防止策を盛り込んだ精神保健福祉法の改正案を2月28日に閣議決定し、今国会に提出。患者の入院中から行政側が医療機関と協力して退院後の支援計画を作成するようにし、計画の期間中に患者が転居した場合は移転先の自治体に計画の内容を通知することを柱としている。

 【用語解説】措置入院 「自身を傷つけ、または他人を害する恐れがある」と判断された場合、精神障害者を強制的に入院させる制度。本人や家族の同意は不要で、入院期間に定めはない。精神保健福祉法に基づき、精神保健指定医が診断し、都道府県知事や政令市長が入院を決定する。

ニュースをもっと見る

スゴ得でもっと読む

スゴ得とは?

おすすめ情報

産経新聞の他の記事もみる

社会の主要なニュース

社会のニュース一覧へ

01時15分更新

社会のニュースランキング

ランキングの続きを見る

東京の新着ニュース

東京のニュースをもっと見る

記事検索