大相撲初場所5日目の16日、無敗同士の対決を制した正代は、気分よく支度部屋に引き揚げてきた。「良いですね。気持ちも乗っている」。相手は実力者の北勝富士。白星を積み重ねただけでなく、相撲内容も理想に近いものだった。

 立ち合い。胸をそらせてぶつかり、北勝富士のもろ手突きを受け止めた。上体が起きた体勢でも攻められるのは正代の魅力。脇を下から持ち上げるように押すと相手が嫌がって引いた。そこにしっかりついていき、最後は腹を2、3発突いて土俵外に追いやった。

 平成29年に三役を2場所経験し、その後は平幕の上位から中位を推移。独特の身のこなしがあり、この日対戦した北勝富士は戦前、「柔らかい。芯で押せない」と話していた。大勝ちも少ないが、大負けも少ない安定感のある力士だ。

 それが今場所は快進撃を続け、「勝ったら欲が出る。それで疲れちゃう」と苦笑いする。趣味は漫画を読むこと。「ファンタジー系とか現実から離れられる」と、張り詰めた場所中にあって、リラックスの時間になっているようだ。

 上位で好調なのは1敗の大関貴景勝ぐらい。藤島審判部副部長(元大関武双山)は「横綱がいないし、みんなに優勝のチャンスがある」と話す。もちろん正代も候補の一人。「あまりここで浮かれないようにしないと」。波乱が続く今場所のダークホースだ。(浜田慎太郎)