【世界陸上】荒井が銀、競歩ニッポンの「伝道者」に サバ缶と睡眠でパフォーマンス維持

 38キロ付近から日本勢の2位争いが長く続いた。ときに声を掛け合い、励まし合いながら歩を進めた荒井と小林。最後は経験豊富な荒井が一歩前に出る形で歓喜のゴール。「メダルを取らないといけない気持ちがあった。仕事ができてホッとしている」と笑った。

 荒井は昨夏のリオデジャネイロ五輪で、日本勢初の表彰台となる銅メダル。メダリストの仲間入りをすると、軽い燃え尽き症候群にもかかったが、新たな思いが芽生えた。

 「プロスポーツの世界で長く活躍する選手はどうやってモチベーションを維持しているか」。意識したのは、43歳になってもパフォーマンスを維持する米大リーグのイチローの姿だった。自身も29歳。選手としての“旬”を越えようとしていたからだ。

 そんな中、「小さいことの積み重ね」を自身に課してきた。午後10時半の就寝時間を15〜30分早めた。体にいいとされるサバの缶詰やドライフルーツも摂取。五輪後はテレビ出演などで練習の強度が下がっても、質に重点を置いてきた。

 長野・中野実高2年の時、自分から競歩を始めた。マイナー競技と言わざるを得なかったものの「別にそんな抵抗もなかった。結構、面白いなって」と笑って振り返る。

 レース後、日の丸の旗を背負いながら、「日本の競歩をもっともっと期待してもらいたい」と言い切った。今春、五輪存続の危機も味わった50キロ競歩。自らの歩きによって魅力を広めることが何よりの予防薬になる。リオ五輪に続くメダルで、荒井は誰もまねできない競歩ニッポンの“伝道者”になった。(坂井朝彦)

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