新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、米国と欧州の重力波観測が今週中に中断する見通しとなった。米国の観測チームがツイッターで明らかにした。重力波は天文学の新たな観測手段として重要性を増しており、重力波でしか発見できないブラックホール同士の衝突といった貴重な天体現象を見逃してしまう可能性がある。

 欧米各国で人の移動制限が強まり、観測に関わる研究者や技術者の確保が困難になったためとみられる。

 中断するのは、世界で初めて重力波を検出し、2017年に関係者がノーベル物理学賞を受賞した米国の観測施設「LIGO(ライゴ)」と、欧州チームがイタリアで運用する「VIRGO(バーゴ)」。当初は来月末まで共同観測を続ける予定だった。ツイッターでは「(観測を)早めに終えることは悲しい」としている。

 2月に本格稼働した日本の観測施設「かぐら」(岐阜県飛騨市)は予定通り来月末まで観測を続ける。ただ、米欧が頻繁に重力波を捉えているのに対し、かぐらは感度が低く、まだ一度も捉えていない。関係者は「感度を高めるため現場でみんな頑張っている。1回でも観測できれば」と話す。

 重力波は、物体が動くことで生じた空間のわずかなゆがみが、さざ波のように遠くまで伝わる現象。アインシュタインが1916年に一般相対性理論で存在を予言し、ライゴが2015年に初めて検出した。