大国が注視「南海の楽園」の選択 モルディブ大統領選23日投票 

大国が注視「南海の楽園」の選択 モルディブ大統領選23日投票 

 【ニューデリー=森浩】大統領選を23日に控えるインド洋の島嶼(とうしょ)国モルディブに大国の視線が集まっている。米国が強権的手法を強めるヤミーン大統領を批判。一方で政権を支援する中国と、野党側に近いインドとの「代理戦争」の様相も呈する。与野党候補が接戦を演じているもようで、シーレーン(海上交通路)の要衝でもある「南海の楽園」の選択が注目される。

 「もし野党が勝てば、モルディブは外国の侵攻を受け、独立が脅かされることになるだろう」

 ヤミーン氏は7日の演説で、聴衆に支持を呼びかけた。経済政策での成果を強調した上で、「国外の脅しを気にしてはならない」と発言。外国が選挙を「妨害している」とも批判した。

 「脅し」とは、米国の懸念を指すとみられる。米国務省のナウアート報道官は6日、モルディブについて「民主主義の行方を懸念している」と指摘した。ヤミーン氏を念頭に「法の支配や公正な選挙を邪魔する個人に対し、適切な措置を取る」とも明言している。

 ヤミーン氏は2月に非常事態を宣言すると、野党側の要人や、自分に不利な判断を下した最高裁判事らを次々と拘束し、権力基盤を強固にした。

 選挙戦が本格化した8月以降でも、地元民放によると、少なくとも19人の野党モルディブ民主党(MDP)支持者が逮捕された。また、与党に呪いをかけようと黒魔術を行ったとして、市民4人が一時、身柄を拘束された。ヤミーン氏の対抗馬、MDPのソリ候補は「政府はおそらく選挙で不正をするだろう」と警戒している。

 さらに状況を複雑にするのはヤミーン政権の中国接近だ。2013年の大統領就任以降、ヤミーン氏は政治や経済で関係が深いインドから距離を置く姿勢を見せている。

 5月末にはインド軍が置いていた兵士やヘリコプターの駐留継続も拒否した。中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は「モルディブは過度のインドの影響力を排除しようとしている」とヤミーン氏の政策を“評価”する。

 首都マレでは8月30日に中国が1億1600万ドル(約130億円)の建設資金を提供した橋が完成したが、記念式典にインドは参加せず、インドとモルディブの関係の変化を印象づけた。

 インドは4月の中印首脳会談以降、中国との関係改善を図っているが、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて、インド洋地域に影響力を拡大する状況は看過できない。「MDPは一貫してインドに支援と関与を求めており、中印の代理戦争の構図だ」と外交筋は分析する。

 選挙戦では、与党系議員がヤミーン氏の手法に反発する動きを見せるなど、攻防は激しさを増している。


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