2月下旬以降、ため息を聞くことが多くなった。「いったいどうなっているんですか…」。マスク姿の職員から逆取材されたこともある。東京・晴海の組織委事務局でのことだ。

 東京都をはじめ国や民間企業などから集まった3千人を超える“混成チーム”が大会の成功という一つの目標に向かって働く職場に、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらす影響の見えない不安からのことだった。

 IOCが大会の延期を含めて4週間以内に結論を出すとしたのは22日の理事会でのこと。それから事態は一気に動き、五輪史上初の延期が決まった。

 「どうなってもいばらの道」。ある幹部はこう腹をくくっていた。一方で現場の職員からは「俺のキャリアデザイン、どうなるんだろう」との不安の声も聞いた。

 彼らの多くは大会後の10月から、段階的に出向元に戻る予定だった。武藤敏郎事務総長は24日の会見で、「出向を1年延ばせといえるかというと、なかなか難しい」と話した。ただ、再設定される開幕日を目指し最も難しい事業を成功させるべく、膨大な作業に立ち向かわねばならない。

 すでに販売されているチケットの問題、再確保が必要となる会場の問題、さらに膨らむ開催経費の行方、約8万人に上る大会ボランティアへの対応など、課題はまさに山積している。開幕まであと120日余りに迫った中での延期に、混成チームの士気をどう保つか。五輪は選手たちだけでなく、その舞台を整える人たちの支えがあってこそ、輝くことを忘れてはならない。(森本利優)