「まずはウイルスに打ち勝つ」「最高の準備を続けよう」。新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京五輪・パラリンピックの1年程度の延期が決まったことを受け、日本選手の多くは前向きに受け止めた。一方で既に代表権を獲得した選手からは資格が維持されるか不安の声も。東日本大震災の被災地では「より元気になっている姿を見てもらえる」と「復興五輪」への思いを来年につなげた。

 「I can do it」(私はできる)。東京五輪の卓球男子団体戦要員に選出された水谷隼選手(30)は自身のツイッターに、老化させたように加工した自身の顔写真とともに、こうつづった。ほかにもツイッターなどには「オリンピックの前にまず、コロナウイルスに打ち勝つことだな」=柔道男子60キロ級代表の高藤直寿選手(26)、「今の自分にできる最高の準備を続けよう」=7人制ラグビーの福岡堅樹選手(27)=といった前向きに受け止める発言が相次いだ。

 一方、つかみ取った五輪代表資格の維持を求める声も。男子マラソン代表の中村匠吾選手(27)は「MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)というプロセスを経て勝ち取った代表であり、ぜひ維持していただきたい」とのコメントを出した。

 リオパラリンピック陸上男子走り幅跳び銀メダリストの山本篤選手(37)は「最長でも1年程度の延期ということなので、モチベーションは維持できる。年齢のことはあるが、技術的に伸ばせる余裕ができたと前向きにとらえたい」と語った。

 「日本パラリンピックの父」と呼ばれる中村裕氏が大分県別府市に設立した社会福祉法人「太陽の家」の山下達夫理事長(61)は「選手のコンディションやモチベーションを維持するのは大変だという思いがある」と出場を目指し努力してきた選手らを気遣うコメントを出した。パラリンピックにはボッチャなどで重度の障害を抱えた選手もおり、ある職員は「健常者以上に感染症には注意が必要で、延期がなければ選手の命にかかわったのではないか」と評価した。

 復興の象徴として1964年東京五輪の聖火台を地元に誘致するなどしてきた宮城県の石巻市スポーツ協会会長の伊藤和男さん(73)は「復興も進んでいるので、より元気になっている姿を見てもらえるとプラスにとらえたい」と話した。 福島県内で聖火リレーの走者を務める予定だった同県田村市の坪倉新治さん(56)は「難しい判断だったと思う。延期はやむを得ない」と理解を示した。小学校で太鼓を教えている坪倉さんは、小中学校の子供たちと一緒に走る予定だった。「私も子供たちも楽しみにしていたので、また来年行われることに期待したい。地元が復興している姿を世界に発信するためにも、また福島から聖火リレーを始めてほしい」と期待を込めた。