阪神春季キャンプ(14日、沖縄・宜野座)“電動のこぎり”で福留斬り! 阪神の新外国人、ジョン・エドワーズ投手(32)=前インディアンス3A=が14日、フリー打撃に登板した。キャンプ2度目の打者との対戦で福留孝介外野手(42)のバットをへし折った。直球と思いきや、メジャー最多の通算652セーブを挙げた元ヤンキースの守護神、マリアノ・リベラ氏(50)から学んだカットボール。抜群の切れ味を発揮した。

 ガリッ、ガリッ、ガリガリガリ、スパーン! 福留のバットが真っ二つに折れた。強い日差しが降り注ぐランチタイムで、虎党からはどよめきが起こった。ベテランが目をパチクリとする。相手の狙いを完全に外したのは直球なのか。“電動のこぎり”を取り出したエドワーズがニヤリだ。

 「(直球が)たまにカット(ボールの変化を)するので、福留さんのバットを折ったのはそのボール。自分と似たようなタイプではマリアノ・リベラ(氏)がいる」

 11日のシート打撃登板に続き、2度目の打者との対峙。23球目だった。福留の内角に投じた球がバットを粉砕。福留は練習中、めったに相棒を折らない。それだけでも事件だが、エドワーズの口から史上最強の守護神の名が出たのも驚きだ。

 昨年1月に史上初の満票での米国殿堂入りを果たしたリベラ氏はヤンキースのクローザーを務め、通算652セーブ(S)のメジャー最多記録を樹立。キャリア2度のシーズン50S、シーズン30Sは15度記録した。43歳で迎えた現役最終年も44Sを挙げるなど長く太く活躍。投げる球の大半を占めたカットボールは落差があり「電動のこぎり」と呼ばれた。エドワーズはそれを無意識で習得していたという。

 「(リベラ氏は)そのことを生かしていい結果を残したので、(映像を)見ながら模索していければと思います」

 福留、サンズ、マルテと対戦し、37球で安打性なし。16球がボールだったが、高めの速球で勝負するタイプだと自己分析し、あえてストライクゾーンを試したという。

 この日も「弾丸のような回転でキュッと曲がる」という得意の“ジャイロスライダー”でサンズから空振りを奪ったが、伸びのあるきれいな真っすぐをもつだけに、リベラカットの効果が大だったことが何よりの収穫。球界最年長の福留はエドワーズのカットについて問われても「わからない」と多くを語ることをしなかった。メジャーでも豊富なキャリアを誇る。その破壊力は言わなくても分かっていた。

 11日は1軍本隊が日本ハムとの練習試合で名護に遠征していたため、初見の矢野監督は驚きを隠せなかった。「ベース上に来ると、そんなに簡単に打てそうな感じではなかった。早く実戦が見たい」。昨季58試合で防御率1・38を残したジョンソンはパドレスに移籍した。抑えの球児につなぐ、八回の男がリベラ2世−。鬼に金棒ならぬ、虎に電動のこぎり、だ。

 「自分の調子をしっかり整えて、どんな時でも対応できるように、どんな時でも投げられるように準備していきます」

 刃のように白い歯を光らせながら、リベラカット。福留に対してだけじゃない。巨人も広島も…。悲願のリーグVに向け、満点の鋭さで斬る。 (菊地峻太朗)

エドワーズについて巨人・中里スコアラー「球は強いし、スライダーも低めに決まっていて勝負球として有効に使える。八回を任せられるような投手だと思います」

エドワーズに完敗だった阪神・サンズ「直球には力があって、変化球は切れていた。直球以外にしっかり投げられる変化球があるのは、シーズンに入っても頼りになるよ」

★カットボール

 カットファストボール(Cut Fastball)が正式名称。直球と変わらない球速ながら、打者の手元で投手の利き腕とは逆の方向に動く。変化が小さいことから、空振りを奪うよりもバットの芯を外して打ち取ることを目的とする。