「滴一滴」【山陽新聞】

中国・唐の2代皇帝だった太宗は怒った。せっかく抜てきした役人が私生活で金銭にだらしないという報告があったのだ。役人を推薦した重臣を叱ったところ、こう反論された▼彼の欠点も、豊かな学識を持つこともあらかじめ伝えていたはずだと。「長所をまだ発揮していない。判断するのは早い」と諭され、太宗は納得して職務を全うさせた。「貞観政要」にある、人材起用の心構えを物語る逸話である▼この抜てきの是非はどう判断すべきなのだろう。先月起用された国税庁長官である。先の通常国会では、学校法人「森友学園」への国有地売却の担当として答弁した▼値引きが不透明だったとの追及に「資料は破棄した。価格は適正だった」と繰り返した。野党からは、疑惑隠しに貢献した人を出世させたのではないか、と批判を浴びた人事である▼「適材適所」と政府は説明する。有能な官僚として、仕事にどう取り組むのか。誰もが聞きたいところだが、当人は就任から1カ月がたっても会見を開かず、だんまりを決めたままだ▼理由は「諸般の事情」としか説明されなかった。「諸」の字のつくりの「者」には、外敵から身を守るためのまじないという意味があるという(白川静著「常用字解」)。会見で相対する記者やその後ろにいる国民を敵と思っているわけではあるまいが。(2017年08月10日08時00分更新)

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