「滴一滴」【山陽新聞】

雑誌「暮(くら)しの手帖(てちょう)」が読者から戦争中の体験記を募ったのは半世紀前のことである。高度経済成長に沸き、戦争の記憶が薄れつつあった1968年夏に出版された特集号「戦争中の暮しの記録」はベストセラーになった▼後に出た保存版は今も書店で手に入る。139編の中には岡山県出身者の手記もある。おかゆに入れる塩もなく、海水をくんで味付けしたという▼戦争の実相を伝える庶民の記録は胸を打つ。加えて印象的なのは特集号に寄せられた当時の若者の感想、さらにはそれに対する戦争体験者の意見だ。保存版ではそれらも読むことができる▼「親から戦争中の苦労話は聞いたことがない。初めて知った」。若者の感想からは戦後20年余りの当時でも、各家庭で戦争体験がほとんど語り継がれていないことがうかがえる▼「戦争が始まってからでは遅い。戦争になる一歩手前のことを話してほしい」。こんな若者の声に体験者は答える。「開戦当初は大多数の国民が熱狂的に戦争を支持した」「戦争は長い間の教育や国民感情の情み重ねによって起きるものではないか」▼戦後72年のこの夏、「暮しの手帖」は再び、読者の戦争体験記を募っているという。国民の8割以上を戦後生まれが占めるなか、あの戦争から学ぶ重要性は増している。いまの時代を、次の「戦前」にしないために。(2017年08月11日08時00分更新)

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