川崎医科大(倉敷市松島)の三原雅史教授(神経リハビリテーション)らのグループは、脳卒中のリハビリテーション効果を高める医療機器の開発を進めている。患者は脳の血流量を測定するヘルメット式の装置をかぶり、歩く姿をイメージトレーニング。血流量の増加を確認しながら繰り返すことで、脳を意識的に活性化でき、リハビリ単独よりも効果が得られるという。近く治験を始め、2年ほどかけて検証、実用化を目指す。

 脳卒中は血管が詰まる「脳梗塞」と血管が破れる「脳出血」などの総称。国の調査では全国で年間約30万人が新たに発症し、推計患者数は約118万人に上る。発症者の約1割は死に至り、助かっても手足のまひや言語障害といった後遺症の残るケースが多く、社会復帰にはリハビリが欠かせない。

 三原教授は、リハビリで歩行機能が回復すると、脳の活動も活発になることに着目。イメージトレーニングで脳に刺激を与えれば、より効率的に脳の活動を促すことができるのではないかと考え、2010年に機器の開発に着手した。

 患者は近赤外光による血流測定装置をかぶり、自身が歩く姿を5分間イメージ。脳が働き、血流量が増加した状態を“棒グラフ”に変換してパソコン画面に表示する。グループのこれまでの研究では、脳の活動が活性化している様子を患者にリアルタイムで繰り返し見せることでイメージが上達し、実際の歩行機能も改善できることが分かっている。

 グループでは国の承認に向けて近く、大阪府や広島県の医療機関と共同で医師主導治験をスタート。脳卒中で歩行が不自由になった患者70人を対象に、22年3月までの予定で効果を調べる。

 体への負担が軽くて済むため、幅広い患者に適用できると期待される。三原教授は「言語障害などのほかの後遺症や、パーキンソン病といった別の病気にも応用できる可能性がある。今後4年以内の実用化を目指したい」としている。