吉備国際大文化財総合研究センター(高梁市奥万田町)が、2018年7月の西日本豪雨で浸水被害を受けた倉敷市立真備図書館(真備町箭田)に飾られていた油彩画の修復を進めている。センターが引き受けた真備町地区の公共施設の水没絵画3点のうち、損傷が最も激しく、最後に残った作品。今月末の完了を目指して細かな作業を重ねている。

 井原市出身の洋画家片岡銀蔵(1896〜1964年)の「裸婦」(54年)で、1階壁面に掲示されていた。豪雨で完全に水没し、水を吸ったキャンバスが縮んで塗料の一部が剥落。泥もかぶっていた。倉敷市の依頼で2018年11月、他の片岡作品2点(今年3月修復完了)とともに運び込まれたが「診断を下すとすれば瀕死(ひんし)状態」とセンター長の大原秀之教授(絵画保存修復)は振り返る。

 センター準研究員の影山千夏さん(51)が修復を担当。泥を落とし、剥がれた無数の塗料片の元の位置を特定しながら、一枚一枚戻す作業を繰り返した。6月30日にはセンターで修復の様子を公開。キャンバスが見えるほど塗料が落ちた箇所をルーペで確認し、にかわと石こうを混ぜたパテで丁寧に埋めていった。

 今後は水彩絵の具で色を整えた上で修復を完了させ、倉敷市に引き渡す。影山さんは「作品女性の顔を見ながら、早く元の状態に戻してあげたい一心で作業を進めている。将来の災害に備えて絵画修復の技術も確立させたい」と話している。

 センターは豪雨で水没した真備町箭田の市真備支所とマービーふれあいセンターの油彩画修復も手掛けた。