静岡県知事選の主な争点について、お伝えするシリーズ。2回目は「防災対策」です。SBSが5月18日、19日に実施した電話調査では、優先してほしい政策として13.6%の人が「防災対策」を挙げました。巨大地震などに備える防災対策にはまだ多くの課題があります。

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2024年の元日、最大震度7の揺れを観測した能登半島地震。家屋などの倒壊が相次ぎ、死者は200人を超えました。沿岸部には津波が襲い、道路なども被害を受け、能登半島は孤立しました。

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能登半島と地形が似ている「伊豆半島」。50年前、同じような地震の被害を受けています。

<南伊豆町中木地区 高野譲区長>
Q.50年前の地震の痕跡はどの辺りになるんですか?
「ここの擁壁の上の山が全部土砂がね、崩れて、こちらにこう来たですけどね」
Q.いま、ここにある建物を全部土砂が覆って?
「そうですね、そうです」

静岡県南伊豆町の中木地区で区長を務める高野譲さん(67)。高校2年生のとき「伊豆半島沖地震」を経験しました。

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1974年5月に発生した「伊豆半島沖地震」では中木地区で27人が犠牲になりました。集落は孤立し、消防隊や救助隊も簡単には近づくことができませんでした。元日の能登半島地震は「人ごととは思えなかった」と高野さんは話します。

<南伊豆町中木地区 高野譲区長>
「今度またここに大きな東南海(南海トラフの地震)だとか来た時には、もう伊豆半島全体がそうなるってことを考えますと、ちょっとぞっとしますよね」

15年ぶりに知事が変わる選挙。新しいリーダーには孤立を防ぐ交通インフラ強化に期待しています。

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<南伊豆町中木地区 高野譲区長>
「救急も含めた道路網の整備が必要じゃないかなと思います。やっぱり、全県下を1つにしてもらって考えていただく。孤立避難地域でも早めに対応ができる、防災に強い街づくり、都市づくりに力を入れていただければありがたい」

伊豆半島では「木造住宅の耐震化」も遅れています。住宅の耐震化率は、静岡県平均で89.3%(2018年度)。しかし、伊豆半島南部には60%台から70%台にとどまる自治体が集中しています。

静岡大学防災総合センターの岩田孝仁特任教授は、いま、県の防災対策を進めるうえで知事に求められるのは「国を巻き込み制度を作る姿勢」だと話します。

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<静岡大学総合防災センター 岩田孝仁特任教授>
「人口減少の問題とか高齢化の問題っていうのは、もう社会全体の、いま日本が抱える大きな課題ですよね。財源を伴っての制度として、国にもきちんと全国展開できるような制度化ということを働きかけていくということも、やっぱり静岡発であれば、いろんなことができるんじゃないかなと思うんですよね」

防災対策について、各候補の主張です。

6候補の主張は

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【横山正文候補】
「防災はダメージコントロールが重要だ。予見、対策、訓練の必要がある」
【森大介候補】
「防災対策の第一はインフラ耐震化」
【鈴木康友候補】
「防潮堤などの津波対策を推進し災害後の復興計画を策定する」

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【大村慎一候補】
「県全域で防災施設整備を加速 伊豆半島防災特区で半島災害対策」
【村上猛候補】
「水なしで消火できる物を集中投入できるようにする」
【浜中都己候補】
「災害対応の予算を確保し避難所でのプライバシーを保護する」