中国では現在消費者物価指数が伸び悩み、国内需要の落ち込みが懸念されている。新型コロナウイルスの影響が深刻であることは否定できないが、原因はそれだけでないと専門家は指摘している。「中国は日本のような低欲望社会に突入しつつある」と、中国の経済評論家三尺寒氏が百度のブログメディア肖磊看市で指摘している。中国の国内消費が落ち込んでいるのはなぜか。

 一つ目の要因として、中国人の貯蓄率の高さが挙げられる。中国では年齢にかかわらず全体に高貯蓄である。その背景には「生活を質素にし、無駄遣いをしない」という伝統的な価値観があるからだ、と専門家は分析している。この高貯蓄・低消費の傾向には、健康保険や年金制度などがまだ十分に整備されていないことへの懸念から、老後の資金を貯蓄することも背景にあるに違いない。

 さらに、家族の結びつきが強いこともその原因の一つと指摘している。中国では家の購入に家族三世代がかかわることがざらだ。孫夫婦とそれぞれの両親、さらには祖父母までがお金を出し合い家を購入することも多い。実際、中国人が最初に家を購入する平均年齢は27歳で、米国平均年齢の38歳と比べてもかなり若い。中国では「家を購入するには6つの財布がある」との言葉もあるように、家の購入にあたり夫婦本人たちとそれぞれの両親や親族の財布をあてにしている。子どもが結婚して独立している高齢者世帯世帯でも、子どもの住宅購入のために貯蓄せざるを得ない状況のようだ。

 さらに、国内消費が振るわない一つの原因は「中国人は海外ではお金を使う」という状況もある。例えば、中国では毎年1億6千万人が海外旅行に出かけ、その支出は約3000億ドル、約1600億ドルの赤字となっている。日本でも中国人観光客による爆買いが話題になったが、中国人はいつでも爆買いをしているわけではない。国内では質素に暮らし、海外で一気にまとめ買いをしているようだ。

 こうした状況からも、経済評論家は「このままでは中国も日本のような低欲望社会の負のループに陥ってしまう」と警告、「お金を銀行に眠らせるのはなく、中国国内の需要を刺激し経済の循環を向上させていくためにもお金を使うことをもっと好きになられければ」と述べている。

 日本人から見ると、中国人は爆買いをしているイメージが強いが、実際には「質素倹約」で「貯蓄型」が多くの中国人の実像なのかもしれない。(編集担当:時田瑞樹)(イメージ写真提供:123RF)