世界3位でもピンチ。バドミントン女子ダブルスの東京五輪争いが熾烈すぎる

※写真はイメージです
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バドミントン女子ダブルスで、日本勢が激しい東京五輪出場権争いを展開している。出場権は、1年間の上位成績10大会分の獲得ポイントが反映される、2020年4月末の世界ランキングによって決まる。

同じ種目に同じ国からは最大2組しか出場できないが、8月6日に更新されたランキングでは1位から3位までが日本勢。現状では世界で3位になっても出場できないというハイレベルな争いだ。

その3組は、それぞれ異なる特徴を持っている。16年リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した髙橋礼華(29歳)・松友美佐紀(27歳)は、経験値が豊富で連係も抜群。試合中の対応力は他の追随を許さず、序盤で劣勢でも立て直して勝つことが多い。

クレバーな松友が前衛、強弱の球を巧みに使い分ける髙橋が後衛の縦関係になると、相手の連係を崩し続ける攻撃的なラリーで主導権を握り、反撃の機会を与えない。

五輪出場レースに関しても、松友は「最後に、どんなペアにも負けない一番強いペアになっていることが目標」と頂点だけを見据えており、格の違いを漂わせている。ベテランの域に入っているため、タフなレースを戦い続けることが課題になるが、1年間の戦い方は心得ている。

一方、昨年から猛追を見せて世界のトップ戦線まで駆け上がったのが、松本麻佑(24歳)・永原和可那(23歳)の"道産子ペア"。同学年で共に170cmを超える長身を誇り、高い打点から強打を打ちまくる。日本の4番手として繰り上げ出場した昨年の世界選手権で初優勝。一気に五輪のメダル候補に浮上した。

身長177cmの松本は後衛だが、前衛でネット前に立ちはだかり、甘い球をたたき落とす形も有効だ。永原はスタミナがあり、後衛から強打を打ち続けることもできる。

ただ、まだ若く、永原が「自分たちと似たスタイルでパワーのある選手に負けている」と話すとおり、相手のペースに引き込まれて守勢に回ると、試合展開を変えられずに押し切られる弱さもある。

もうひと組、世界選手権で2年連続準優勝の福島由紀(26歳)・廣田彩花(25歳)の特徴は、レシーブ力だ。相手に攻められても、横並びになる守備隊形で粘り強く球を打ち返す。相手ペースになっても簡単には崩れないしぶとさが持ち味だ。スピードやスタミナなどフィジカルに長(た)けており、長期戦に耐えうるタフネスも持ち合わせている。

横並びの守備から、廣田が積極的に前衛に入り、相手に時間を与えない返球で主導権を奪いにいく。3組の中では中堅にあたり、最も安定感のあるペアといえる。ただし、世界大会のタイトルがなく、今後は頂上決戦での勝負強さが問われる。

4月末のニュージーランドオープンから五輪レースが始まったが、8月6日時点では、福島・廣田組が1位(4万3402点)、髙橋・松友組が2位(4万3242点)と拮抗(きっこう)し、3位の松本・永原組(3万9073点)が少し離れている。しかし、レースはまだ始まったばかり。大きなヤマ場となるのが、8月19日にスイスで開幕した世界選手権だ。

この大会がカギを握る理由はふたつある。ひとつは、優勝ポイントがレース中の大会の中で最も高い(1万3000点)だけでなく、ベスト4まで高ポイントを獲得できること。7月に行なわれたふたつ下の格付けのダイハツ・ヨネックスジャパンオープンで、準優勝した松本・永原組は9350点を得た。

しかし、世界選手権ではベスト4でも9200点を獲得できる。3組はそれぞれがシードされて別の山に入っているが、ほかのペアが順当に勝ち上がった場合に4強を逃すことは避けたい。

もうひとつ、重要な点がある。世界選手権で優勝したペアは、12月に行なわれるBWFワールドツアーファイナルズに優先出場ができる。こちらは五輪レースとは別に、今年一年のツアー獲得ポイントをすべて加算して争うランキングにより、年間上位8組に出場権が与えられる。

世界選手権に次ぐ格付けでポイントは高い。また、通常のトーナメントは5連勝しなければ優勝できないが、この大会は4ペアずつ2組に分かれて総当たり1回戦を行ない、各組上位2ペアがトーナメントを行なう。1敗しても優勝を狙える点も魅力だ。

ところが、この大会も同国勢の出場は最大2組まで。つまり、この大会に出られなかった1組は、来年を迎える時点で取り残される可能性が大きい。そのため日本勢の3組は、今年に限り、日本A代表が派遣される大会よりも格付けの低い大会に自主参加してポイントを稼いでおり、ただでさえハードなスケジュールがさらに過酷になっている。

9月に中国でひとつ、10月に欧州でふたつ、11月に中国でひとつと、大きな大会は秋にもある。しかし世界選手権で優勝ペアが出れば、残り2ペアのポイント争いは激しさを増し、消耗戦も予想される。

五輪レースは、先行型が心身両面で優位に立てる。無欲ならいいが、世界ランキング3位以内でも追わねばならないペアはつらい立場に置かれる。その上、髙橋が「大きなケガをしたら、もう戻ってこられない」と話すとおり、どれだけタフな戦いになり、プレッシャーがかかっても、ケガや病気による長期離脱は避けなければならない。

さらに、中国や韓国勢も猛追しており、勝つことは難しくなってきている。金メダル候補が3ペアもいることは日本の誇りだが、代表争いは熾烈(しれつ)極まりない。そのなかで勝ち続けた2ペアが日の丸を背負って東京に立つ。

取材・文/平野貴也


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