ラ・リーガの優勝争いについて語った宮澤ミシェル
ラ・リーガの優勝争いについて語った宮澤ミシェル
サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第155回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマはラ・リーガの優勝争いについて。ラ・リーガが再開し、さっそく輝きを見せたメッシ。そんな、メッシを擁するバルセロナとレアル・マドリードの優勝争いが目を離せない展開となっている。果たして、今シーズンの優勝を勝ち取るのはどちらなのか? その行方について宮澤ミシェルが語った。

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メッシがキレッキレの体を取り戻して、ラ・リーガの再開後はさすがのプレーを見せてくれているね。

ラ・リーガの中断期間中は、フィジカル系のトレーニングをしっかりやったんだろうね。そうじゃなきゃ、あそこまで体は絞れないよ。

中断前だってメッシの動きは決して悪くはなかった。ただ、ラ・リーガと国内カップ戦、チャンピオンズリーグというハードスケジュールのなかでは疲れも溜まっていただろうし、なによりこの何年もの勤続疲労もあったと思うんだよな。

シーズン終了後はしっかりバカンスをとって体をリセットさせているとはいっても、クラブでの活動とアルゼンチン代表での活動があるなかでは、否応なくすり減っていく部分はあるんだよな。

それが新型コロナ禍によって、サッカーそのものの活動がすべてストップした。この3カ月は心身ともにサッカーが楽しめるリフレッシュ期間になったんだろうな。前よりも体が引き締まったことで、動きも全盛期に近づいた感じがするよ。

加えて、スアレスという心強い相棒が戻ってきたのも、メッシを輝かせる後押しになってるよな。スアレスと一緒にプレーしているメッシを見ると、やっぱりグリーズマンじゃ物足りないんだなって感じちゃう。

スアレスは本来ならシーズン終盤で復帰予定だったのが、中断でより多くの試合を戦えることになった。スアレスはメッシと組んだときは、抜群の場所に動くんだよな。メッシもちゃんとスアレスを見ていて、そこにパスを出す。相手にとってスアレスがいる時のメッシは本当に厄介だよな。

スアレスの復帰でバルセロナの得点パターンが戻ってきたし、普通に考えれば、これがバルセロナのラ・リーガ優勝への後押しになるはずなんだけど、そうならないのが、今季のおもしろいところだよな。

優勝争い、バルセロナとレアル・マドリードが、1試合の勝ちと負けで順位がひっくり返るマッチレースになっているんだよ。シーズン終盤に2強がこれほど大接戦を演じたのはいつ以来だろうってくらい久しぶりに感じるんだよな。

レアル・マドリードも中断期間があったことでエデン・アザールが戦線に戻れたし、モドリッチも復調してきたから優勝が近づいてきた気がするよ。

バルセロナも、前線のタレントだけでなく中盤にもブスケツやビダル、ラキティッチもいて戦力は揃っているし、やりそうな予感はあったんだけど、なんていってもここにきてデ・ヨングの負傷は本当に痛すぎるよ。今や、バルセロナのキープレイヤーのひとりだからね。今季中の復帰は厳しいという話もあって、事実なら優勝争いに相当響くんじゃないかな。

いずれにしても、ラ・リーガは7月末までに残りの全日程を消化するため、中2日と中3日の間隔という過密日程で戦っていくから、最後はコンディションのいい選手を見極めながら、チームの推進力をいかにつくっていけるかがカギだよな。

残り試合で2強の直接対決は残念ながらもうない。最後の最後でクラシコがあったら、すごい盛り上がるんだけどな。残り試合の対戦相手を見比べると、バルセロナの方が若干有利な気がするよ。レアル・マドリードはひとクセあるチームとの対戦が残っているからね。

ただ、いまのレアル・マドリードにはジダン・マジックが繰り出される気配が漂っているんだよな。カルバハルを使わずに、右サイドで使ったミリトンがとてもいいプレーしたのを見ると、勝負どころでさらに大胆な采配を振るう気がするよな。そういう大博打を打てるのがジダン監督のすごさだからね。

それから、レアル・マドリードの優勝のカギは、ベンゼマが握っていると思うよ。毎シーズンのように20得点は決めている選手なのに、いまひとつストライカーとしての評価が低いのは、C・ロナウドのように大舞台での結果がないからなんだよな。今年こそ優勝の立役者になってイメージを刷新する予感がしているんだけど、果たしてどうなるだろうね。

中断期間明けの選手たちのプレーを見ていると、どの選手も再開に向けてしっかりトレーニングしてきた。彼らのサッカーに対する情熱を垣間見られたよね。そして、こんな特殊なシーズンになっても、素晴らしいプレーを見せてくれる選手たちには、画面越しになってしまってもスタンディングオベーションを送りましょうよ!

構成/津金壱郎 撮影/山本雷太