大島僚太 1993年1月23日生まれ、静岡県出身。168cm/64kg。ポジションはMF。名門・静岡学園高校を卒業後、2010年に川崎フロンターレに入団。高卒1年目にしてスタメンを奪取し、17年、18年のJ1リーグ制覇に貢献。16年には日本代表に初選出された
大島僚太 1993年1月23日生まれ、静岡県出身。168cm/64kg。ポジションはMF。名門・静岡学園高校を卒業後、2010年に川崎フロンターレに入団。高卒1年目にしてスタメンを奪取し、17年、18年のJ1リーグ制覇に貢献。16年には日本代表に初選出された

新型コロナウイルス感染拡大に伴う中断期間を経て、7月4日にJリーグ(J1)が再開された。

各チームが異例のシーズンで頂点を目指すなか、「チャレンジ」をテーマに王座奪還を目指すのが、川崎フロンターレだ。リーグ再開の数日前、そのチームを支える若き司令塔、MF大島僚太がリモートでの取材に応じ、今シーズンにかける思いを語った。

川崎が全体練習を再開したのは6月2日。その際には指揮官から優勝に向けての言葉があったという。

「全体練習が始まるときに、鬼木(達)監督が『優勝して、大変な思いをされている方に勇気を与えられるように頑張ろう』と話されていました。それを達成できるように頑張りたいです」

全体練習が再開されるまでの過ごし方については、「自宅で過ごす時間が増え、家の近所を走っていました。サッカーでは基礎体力も重要。筋肉量も徐々に増えてきていますし、自分の体を見つめ直すいい機会になった」という。ボールに触れる練習が制限されるなかでも、前向きな日々を過ごしたことが言葉からもうかがえる。

これまでケガに泣かされることが多かった大島にとって、もちろんリーグ中断は残念なことだが、コンディションを整える時間ができた点はプラス材料だろう。昨シーズンは、開幕前に「ケガなく複数タイトル獲得する」という目標を立てたものの、7月7日のサガン鳥栖戦で足首を負傷。戦線離脱を余儀なくされた。

チームとしても苦しい戦いを強いられた川崎だったが、昨季は随所でJ1王者の貫禄も見せた。7月19日には、来日したプレミアリーグの強豪・チェルシーと対戦し、1−0で勝利を収めた。

ケガをしたばかりで試合に出ることは叶(かな)わなかった大島は、「世界的な選手と対戦できたというチームメイトの経験がうらやましかった」としながらも、「試合前に鬼木監督から『フロンターレのサッカーを見せつけよう』という話があって、それができた喜びがありました。何年もかけて積み上げてきたサッカーが(正しかったという)確信になりました」と振り返る。

さらに、大島が戦線復帰した後の10月には、北海道コンサドーレ札幌を下してルヴァン杯を初制覇。2017年の準優勝を含め、それまで4度も決勝で敗れていたカップ戦で悲願のタイトルを獲得した。

「それまでは、(ニュースなどで)決勝の映像が使われることがあっても、最後に喜んでいるのは僕らじゃなかった。それが払拭(ふっしょく)できた安心感はありましたね。3年前の、ピッチから見上げたセレッソ大阪の表彰式の光景をよく覚えていたので、優勝を祝福してくれる人の笑顔が見られたときは本当にうれしかった。スタッフやサポーターのためにプレーした結果だと思います」

チェルシーに勝利し、カップ戦のタイトルも獲得。自分たちのサッカーに自信を深める一方で、リーグ戦での苦境を脱することができなかった。

昨季は開幕から3試合連続で引き分けとスタートでつまずき、その後も「何をしても追いつかれる感じだった」という大島の言葉どおりに勝ちきれない試合が続いた。最終的には年間12の引き分けで4位。その原因について、大島は次のように分析する。

「(川崎が)Jリーグを連覇してから、守備的な戦術で引き分けを狙ってくる対戦相手が増えました。対戦相手からの見られ方が変わったように思います、その影響もあって、気づかぬうちに『守りの意識』が生まれてしまった。引いた相手を崩すイメージが、共有できていなかった部分もあったと思う。『チャレンジ』の必要性を感じました」

ホーム最終戦、リーグを制した横浜F・マリノスとの試合(1−4で敗戦)でも、それを痛感したという。

「マリノスはやるべきことが明白で、強気な姿勢を感じた。ここ数年で一番強かったですね。強気なチャレンジが必要だとあらためて感じさせられた試合でした」

そんな大島の言葉を反映するかのように、今季の川崎はより攻撃的な「4−3−3」の新布陣を採用した。大島自身も、これまでのバランスを重視するプレースタイルから一転、積極的に攻撃に参加する新境地にチャレンジ。トップ下でプレーする選手たちの動きを参考にするなど、新スタイルの確立を目指して試行錯誤を続けている。

「最初は戸惑いもありましたけど、変化があることで、僕自身ももっとレベルの高い選手に成長できると思っています。個人としては前線の攻撃に関わりを増やし、変化を楽しみながらこのエネルギッシュなサッカーをしていきたいです」

無観客で再開されるリーグについては、「いつもは等々力(とどろき)競技場の一体感や、お客さんの反応を楽しみながらプレーしているので、無観客でのリーグ再開は寂しい気持ちもあります」と話す。段階的に観客を入れていく予定だが、試合をじかに見られるサポーターの数は例年よりも減ってしまう。

そんなファンたちへ、大島は「しばらく映像を通しての観戦になると思いますが、僕やチームがチャレンジしているのを見て元気になってもらいたいです」と思いを語った。

再びリーグの頂点に立つために。生まれ変わるためにもがいた先には、歓喜の瞬間が待っているはずだ。

取材・文/白鳥純一 写真/YUTAKA/アフロスポーツ