駅長帽子をかぶって志和口駅にたたずむりょうま(2018年12月)

「地域に賑(にぎ)わい 人々に癒(いや)しと元気を ありがとう」。JR芸備線の志和口駅(広島市安佐北区)で「ネコ駅長」として親しまれ、今年2月に息を引き取った「りょうま」の碑が駅前に完成した。地域住民からの感謝の言葉が石に刻み込まれた。

「猫駅長」年間3千人呼び込む

 りょうまは2010年ごろから駅に姿を見せ始め、12年に地域住民から「ネコ駅長」に任命された。テレビ番組や海外の雑誌などで紹介され、山あいの小さな駅に年間3千人近くを呼び込んだ。だが今年1月末、食べた物を嘔吐(おうと)するようになり、動物病院に入院。一時は退院したが、2月12日の夕方に息を引き取った。

石碑の横に設置されたモニュメントには、りょうまの姿が描かれている=広島市安佐北区

「何とかして、りょうまのことを形として残したい」。生前から世話を続けてきた人々で作る「りょうまを偲(しの)ぶ会」の中原英起さん(74)の呼びかけで有志が費用を出し合い、碑を建てた。今月7日の除幕式には住民やファンら約100人が駆けつけた。

 石碑は幅94センチ、高さ65センチ。「りょうまは地元のネコじゃから」という理由で、駅から近い山で石を選び、中原さんらが手作業で運び出して地元の石材店に字を彫ってもらった。

「りょうまを偲ぶ会」会長の中原英起さんと、完成した石碑

 隣には幅35センチ、高さ30センチの御影石製のモニュメントも設置。駅長帽子をかぶり、蝶(ちょう)ネクタイをつけたりょうまの姿をレーザーで色鮮やかに刻み込んだ。「あんなにりりしくて、人なつっこいネコは他にいない」と中原さんは振り返る。

「また会いに来られる」

 芸備線は昨年7月の西日本豪雨で鉄橋が流され、不通が続いた。全線が復旧したのは今年10月のことだ。「りょうまは芸備線の再開をずっと待ってたんよ」と中原さん。碑の設置も当初は今年7月を目指したが、芸備線の再開を待って12月にずれ込んだ。石碑のそばに立つと、再び行き交うようになった列車の音がよく聞こえる。

 中原さんは完成した石碑を前に、「2万人近くの人が会いに来てくれて、交通安全活動もするなど、本当にすごいネコだった。後世に残す碑ができて天国で喜んでると思う」と語った。

JR志和口駅の「りょうま駅長」。交通安全イベントでも活躍していた

 近くに住む広島市立高南小2年の山口恵麻さん(8)も生前のりょうまに会いに何度も駅に来た。動物が好きで、ネコの保護施設にも通った。中原さんとともに除幕式で幕を引く役を担い、「また会いに来られるのでうれしい。多くの人にりょうまを知ってもらいたい」と話した。