3頭のシェパードと指導手の東山勲さん=白山市鶴来水戸町

 県警の嘱託警察犬審査会で、石川県白山市の東山勲さん(72)の3頭のシェパードが総合優秀賞1〜3位を独占した。指導手として半世紀、訓練を続けてきた東山さんは「事件はない方がいいけれど、いつでも警察の依頼を受けられるよう準備している」と話す。

 審査会は昨年10月に金沢市内であり、県内から指導手17人と25頭が参加。仮想犯人が歩いたコースをたどる「足跡追及」と、犯人の臭いを特定する「臭気選別」で競った結果、東山さんのネロ(6歳)が1位、弟のオルト(5歳)が2位、兄弟の母マイナ(10歳)が3位に輝いた。

足跡追及の訓練をするオルトと指導手の東山勲さん=白山市鶴来水戸町

 子どもの頃から犬が大好きだった東山さん。「犬のいない生活は考えたことがない」といい、自宅では3頭のほか、しば犬とダックスフントも飼っている。警察犬の訓練を始めたのは、「せっかくなら人の役にも立ちたい」という思いからだった。

 普段の訓練場所は、白山市内の手取川の河川敷。「遊びとのバランス」を心がけ、犬が乗り気でないと感じたら、ボールを投げて遊ぶ。気分よく走らせ、持って来たらエサをあげる。「一度へそを曲げたら全て水の泡。警察犬としての役割を果たさなくなる」

 今回の審査会前に、外装業の仕事をリタイア。これまでは3頭を足跡追及犬として訓練してきたが、「臭気選別もやらんと、総合優秀賞はとれん」と奮起。10月はほぼ毎日、親戚や近所の人にタオルで手を拭いてもらうなどして用意した臭いを使い、選別の訓練をしたという。

指導手の東山勲さんと臭気選別の訓練をするネロ=白山市鶴来水戸町

 しっかり者のネロ、シャイなオルト、優しくて強いマイナは猛特訓を経て、本番でもきっちり実力を発揮した。東山さんは「一回はワンツースリーをとりたいと思っていた。犬に恵まれた。ようやってくれた」。6月には長野県で全国大会がある。「仕事を辞めて犬と触れる時間が長くなった。やるからには日本一を狙いたい」と意気込む。

 県警は嘱託警察犬制度を1963年に導入。審査会の結果や地域バランスを考慮して、来年度は20頭前後を嘱託犬とする予定で、ネロ、オルト、マイナも含まれる見通しだ。備後久和・鑑識課長は「24時間365日、要請に応じてくれてありがたい」と話す。
(三井新)