かつて韓国で「兵役は芸能人の墓場」と呼ばれたが現状はどう変化している?

かつて韓国で「兵役は芸能人の墓場」と呼ばれたが現状はどう変化している?

かつて韓国芸能界で「兵役は芸能人の墓場」と呼ばれたのは、兵役中に人気が落ちてしまった芸能人が多かったからだ。

しかし、今はどうなのか。

いまだに「墓場」の印象が強く残っているのだろうか。

長かった兵役期間

以前の韓国芸能界で男性芸能人が兵役中に人気を落としたのは、兵役期間が長かったことも一因だった。

例えば、陸軍の場合は1986年には36カ月もあり、1993年でも26カ月だった。

しかし、2011年からは21カ月になり、2018年9月には「兵役期間18カ月」が閣議決定された。

この変化を見ると一目瞭然だ。かつては丸3年も芸能人はブランクを強いられていた。兵役が「墓場」と称されたのも無理はない。

けれど、今は1年半だ。丸3年に比べると、違いは歴然としている。入隊する芸能人にとっても、精神的な負担はかなり違うだろう。

芸能人が忘れられるもう1つの原因とは

徴兵期間が長かったことの他に、もう1つ、兵役入りした芸能人が忘れられる原因があった。

それは軍務中の活動が一般社会にまったく伝わらなかったことだ。

今なら、入隊した芸能人の言動は折にふれてネット上を賑わす。国防省が「開かれた軍隊」を標榜して広報活動に力を入れている成果だ。そうした情報のおかげで、ファンも入隊したスターを忘れずに済むのである。

しかし、かつては「閉ざされた軍隊」が当たり前で、情報開示がないので入隊したスターの様子は一切わからなかった。

こうなってしまっては、徐々に忘れられてしまうのも仕方がない。

そうでなくても、芸能界には新しいスターが次々に誕生してくる。新陳代謝が激しい世界だけに、長いブランクがあると致命傷になってしまう。

こうした事情が重なって、「兵役は芸能人の墓場」という言葉が生まれた。

違法に手を染めてまで「兵役逃れ」

それだけに、人気スターにとって兵役は恐怖だった。

2004年に大物スター(ソン・スンホン、チャン・ヒョク、ハン・ジェソクなど)を巻き込む「兵役逃れ事件」が起こったが、違法に手を染めてまで兵役を避けたかったのは、言い伝えられてきた「墓場」というイメージが頭にこびりついていたからだろう。

事件の当事者だったソン・スンホンは心からの謝罪を表明して、最前線で立派に兵役を全うした。除隊後に芸能界に復帰した彼はどうなったか。

人気が凋落するどころか、兵役に行く前より俳優としての評価を高めた。

入隊する以前の彼は、ナイーブで繊細な演技を持ち味にしていたが、除隊後には、男らしくて骨太な演技が多くなって評価が上がった。まさに、兵役を境にイメージの転換に成功したのだ。

さらに、兵役を自分のキャリアに生かしたのがヒョンビンだった。

彼は、軍隊で訓練が一番厳しいことで知られる海兵隊に自ら志願し、「男の中の男」といわれる部隊で兵役を全うした。

つまり、軍隊に嫌々行くのではなく、そこで自分をもう一度鍛えなおすという選択をしたのである。

除隊後のヒョンビンは、逞しいイメージをプラスして、俳優として大活躍している。

東方神起メンバーも最高のお手本に

同じことが、『太陽の末裔』で大ブレークしたソン・ジュンギにも言える。

彼は軍事境界線のすぐ近くの最前線で軍務を全うして除隊した。復帰作が『太陽の末裔』でエリート軍人の役だった。

兵役以前には柔らかなイメージが強すぎたソン・ジュンギだが、『太陽の末裔』の軍人役はピッタリはまっていた。

さらに言えば、東方神起のユンホが最高のお手本になっている。彼は兵役中に特級戦士に選ばれ、射撃と体力で超一流の軍人であることを証明して喝采を浴びた。

そして、除隊後は素晴らしいステージを披露して人気を持続している。

彼らの兵役後の活躍は、芸能人の兵役が致命的なブランクにならないことを証明している。むしろ、兵役をプラスのキャリアに加えている芸能人が最近は目立っている。

(文=康熙奉)

康 熙奉(カン・ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化や日韓関係を描いた著作が多い。主な著書は『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』。


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