神々が集う地で

出雲の地を訪れて、出雲大社(いづもおおやしろ)を参拝すると、いつも厳かな心持ちになるとともに、どこかミステリアスな気分に包まれる。旧暦の十月、新暦では年により十月から十二月の頃は、ひときわそうだ。


十月は別名「神無月(かんなづき)」と呼ばれるが、出雲では「神在月(かみありづき)」といわれている。八百万(やおよろず)の神々が、出雲大社の主祭神であるオオクニヌシ(大国主大神(おおくにぬしのおおかみ))の下に集い、国の来し方行く末について会議をなさるのだ。


今自分が立っているこの場所に、全国各地から神々が集うのだ、と思うと、神話と現実とがミックスしたような、なんとも不思議な心持ちになる。


▲全国から神々が集い、宿泊なさる十九社。東西に二社ある。


出雲には、神話やそれに続く過去と、現在とを難なくヒョイっと結ぶ、独特の空気や歴史的景観が残っている。


2020年は、日本最初の正史である『日本書紀』が編纂されてから1300年。日本書紀には、出雲神話が多く取り込まれていて、冒頭の国譲り神話によるとオオクニヌシは、皇祖神の天つ神にクニの支配権を譲る代わりにヤマト王権から高い神殿を造ってもらい、祀ってもらった。


オオクニヌシは現実界から「幽」の世界へ移り、神々や祭祀を司ることになったとされる。日本の目には見えない側を、出雲が支えていたのだ。


▲左/スサノオノミコトを祀る素鵞社(そがのやしろ)。右/随所に神さまの気配が。

出雲大社
住所:出雲市大社町杵築東195


出雲大社の隣にある「島根県立古代出雲歴史博物館」を訪れると、境内から発掘された巨大な柱や伝承をもとに、大昔の出雲大社の姿を推定した建築模型が展示されていて興味深い。


平安時代、社の高さはなんと約48メートルあったという説も。出雲の人々は、長きにわたって壮大な神殿を造り、守り続けてきた。昨年には平成の大遷宮が終了し、神さまの御力も、清新に、若々しく蘇っている。


神在月にちなんで、出雲ぜんざいをいただきながら、この地に積もった膨大な時間に想いを馳せた。


▲左/島根県立古代出雲歴史博物館。平安時代の出雲大社の推定復元模型を設置。右/神在(じんざい)が転化して、ぜんざいになった、という説も。出雲大納言の小豆を用いたぜんざいは、自然な甘みで美味しい。

島根県立古代出雲歴史博物館
古代出雲にまつわる文化財を保存、展示。出雲大社境内から発見された宇豆(うづ)柱や、荒神谷遺跡から発掘された358本もの銅剣など弥生青銅器も見もの。
電話:0853-53-8600
住所:出雲市大社町杵築東99-4(出雲大社東隣)
休日:月1日程度(Webサイトでご確認ください)


10月9日(金)〜12月6日(日) 企画展『編纂1300年 日本書紀と出雲』開催予定

Kissa&co(きっさこ) 坂根屋
電話:0853-31-9135
住所:出雲市大社町入南622-2
休日:不定休


坪田三千代
つぼた みちよ/編集者・ライター。海外80カ国以上、日本全国の旅取材を企画から執筆まで手がける。歴史ある土地や大自然に惹かれるが、ラグジュアリー系ホテルや温泉などの取材も多い。


武田正彦
たけだ まさひこ/写真家。広告制作会社を経て、1985年に渡仏。86年北京美術館で映像展を開催。94年にアメリカにてADC(アートディレクターズクラブ)賞銀賞受賞。2000年フランス政府観光局主催フランスルポルタージュ大賞受賞。

出雲へのアクセス


全国各地から出雲縁結び空港へJALグループ便またはコードシェア便が毎日運航。出雲空港から出雲市内(出雲市駅)へは空港連絡バス、または車で約30分。

(SKYWARD2020年10月号掲載)
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