【甲府】G大阪戦勝利の陰にあったいくつかの変更点。674分ぶりの得点、11試合ぶり白星の舞台裏

【甲府】G大阪戦勝利の陰にあったいくつかの変更点。674分ぶりの得点、11試合ぶり白星の舞台裏


[J1リーグ20節]甲府 1-0 G大阪/8月5日/中銀スタ
 
 甲府は10戦勝ちなしの苦境に陥っていた。8月5日の第20節・G大阪戦で、吉田達磨監督が採った策はセンターラインの入れ替え。GKに起用されたのが今季初先発の河田晃兵。アンカーに入った島川俊郎はJ1通算2度目の先発出場だった。5バックの中央に入った新井涼平も、前節は中盤で出場している。
 
 吉田監督は用兵の狙いをこう説明する。「前回(の鹿島戦で)大量に失点したことは事実で、戦術的な綻びも見られた。単純にガンバ大阪を分析してファン・ウィジョ、長沢(の2トップ)は高さもありますけれど、(新井の)スピードというところは絶対に必要になってくると思った。裏へのボールを新井や新里が跳ね返したり、ヘディングで触ったりしたセカンドボールを回収するというところは島川。そういういくつかの狙いの中でセンターラインを替えました」
 
 甲府は6試合連続でゴールを奪えていなかったが、前節は3失点を喫して堅守にも綻びが見えていた。まず「相手の強みを消す」という部分で、この新布陣が実際に機能した。
 
 もうひとつ大きかったのが、センターバックにスピードのある選手が3枚並び、ラインを高くとれたこと。
 
 新井はこう説明する。
「前の選手が孤立するというのは良くないですし、(FWに)気持ちよくプレーしてもらうことを考えると、全体でコンパクトに保ったまま動き続けることが大事だと思った。普段はそんな上がらなかったりしますけれど、そこは意識的に上げた。コンパクトになるべくみんなが近い距離でと意識していた。ボランチとも近い距離でやるというのを話していた。(自分は)ボランチをやっていたのでその辺の感覚も持っている」
 
 優勢とまでは言えないが、強敵のG大阪に対して甲府は「ただひたすら耐える」という展開に陥らなかった。そして残り15分を切ってから、流れは明らかに甲府へ移る。狙いを持ったクリア、縦パスがFWに入り、そこに中盤が絡むカウンターの形が生まれていた。
 新井は言う。
「ウチも少し(ボールを)動かそうという意識が強くなったところで、ガンバさんの方も少し落ちて間延びするところが見えた。上手くトップに入ったボールのセカンドを拾ってというのにつながった」
 
 88分の決勝点はCBエデル・リマが、FWドゥドゥにボールを預けた攻め上がりから生まれた。甲府が間延びせず、最終盤もいい距離感でプレーしていたからこそ生まれたアタックだ。
 
 この試合でE・リマは再三再四と攻め上がりを見せ、1点リードを奪った後にもドリブルで前線に切れ込むプレーがあった。普通に考えれば1点リードを奪ったチームのCBが、後半ロスタイムに攻め上がるというのは“NG”だろう。
 
 そのプレーについて新井に確認すると、彼の考えは違った。
「1点取って守るというのがうちの習慣になってしまうのは良くないと思う。(E・リマには)やりたいようにやってもらうし、それをやるのであれば他の選手がカバーするというみんなの意識がある」
 
 新しいセンターラインの構成と新井涼平の強気な統率が下支えした――。そんな甲府の11試合ぶりとなる勝点3と、674分ぶりのゴールだった。
 
取材・文:大島和人(球技ライター)

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