本気モードのウルグアイ戦で起きた開始3分の「ちょっとした革命」

本気モードのウルグアイ戦で起きた開始3分の「ちょっとした革命」


『2試合目』として見ると、ウルグアイはやる気に満ちていた。試合の入り方も、こんなヤツらに絶対負けねえ、と言わんばかりのインテンシティの高さが見られた。
 
 当然だろう。12日、韓国に1−2で敗北し、苦汁をなめたばかり。ウルグアイは時差によるコンディション不良に苦しみ、韓国のフィジカルに圧倒され、終始押し込まれた試合だった。
 
 しかし、それから4日後の日本戦は、話が別だ。東アジアの時間に順化を済ませ、コンディションは上昇している。アジアで2連敗だけは避けようと、そして、立ち上がりでホームの勢いに飲まれた韓国戦の轍を踏まないように、逆に飲み込んでやろうと。ウルグアイの意志が見られる、激しい立ち上がりだった。
 
 だからこそ、驚いたのだ。その勢いを、日本代表が押し返したことに。
 
 今までの日本で言えば、相手が勢いを伴ってくる状況では、ひたすら押し込まれるばかりだった。その後、やがて守備が決壊するか、あるいはアジアではどうにか守り切れるか。日本はハイプレスを剥がすほどのポゼッション力があるわけではない。相手が押し込んできたら、耐えるだけ。ロシア・ワールドカップのベルギー戦を持ち出すまでもなく、そんな試合が今までは当たり前だった。
 
 しかし、開始3分。潮目の変わりを感じた。
 
 左サイドで中島翔哉がボールを持ち、相手に囲まれる中で、南野拓実とワン・ツー・スリー・フォーと小気味良くつなぎ、ウルグアイの高い守備網を抜け出す。最後は倒されたが、スタジアムが沸いたプレーだった。大迫勇也も相変わらずのキープ力を誇り、右サイドに入った堂安律も、ボールキープして耐える力がある。全体的にプレスを受けっぱなし、耐えっぱなし、という状況にはならなかった。ちょっとした革命が起きている。
 
 そんななか、先制ゴールを、しかも最高に華麗なゴールを、南野が決めた。ウルグアイに起きた問題は、想像に難くない。プライドを相当傷つけられたはず。格下ランクの日本にリードを許し、しかも名前くらいしか知らないのに、やたら抜いてくるヤツが、笑いながら楽しそうにプレーしていて。
 
 さらにウルグアイはアクシデントも発生した。ウォーミングアップ中にMFマティアス・ベシーノが負傷し、FWガストン・ペレイロが緊急発進。心臓部のボランチを欠き、本来はトップ下のロドリゴ・ベンタンクールが、ボランチに下がらざるを得ない状況だった。結果、堅守のウルグアイらしからぬ、バイタルエリアのスカスカ具合。そんな不運もあった。
 
 また、チーム立ち上げ期なので、トライの最中と見られる部分もあった。左サイドでは20歳のマルセロ・サラッキと、ディエゴ・ラクサールの左利き2人が縦関係になり、サイド突破を狙った。後半の序盤など、脅威を与えた時間帯もあったが、逆に前半は彼らのポジショニングに対し、配球役のMFルーカス・トレイラが苛立ち、怒りを露わにする一幕もあった。
 
 アクシデントの発生と、新しいトライのノッキング。そして、格下の日本による思わぬ逆襲。「ウルグアイが本気でなかった」という見方は適当ではなく、チームに問題が起き、日本も問題を起こしたため、このパフォーマンスが限界だったのだろう。
 
 格下にやられる状況は、タチが悪い。格上にやられたら我慢できることでも、プライドが邪魔をして集中を欠きやすい。もちろん、ワールドカップのような真剣勝負なら、そんなことも振り切って戦えるのだろうが、如何せん、親善試合である。
 
 チームの立ち上げ期としては、お互いに良い強化試合だった。しかし、この先、チームが第2期に入ると、より質の高い強化試合が必要になる。ホームとアウェー云々もあるが、そもそも親善試合であることが、ひとつの課題だ。やはり競争的な公式戦でなければ得られない、逃げ道を絶って戦う感覚が欲しいところ。すでに欧州は『UEFAネーションズリーグ』を始めてしまったので、TPPキリンリーグ的な大会でも出来れば良いのだが。
 
文●清水英斗(サッカーライター)
 


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