【日本代表】南野拓実と伊東純也を“覚醒”させたチャンピオンズ・リーグの「魔力」

【日本代表】南野拓実と伊東純也を“覚醒”させたチャンピオンズ・リーグの「魔力」


 たった2試合で、これほど変貌するものか。そう思わせる圧巻のパフォーマンスだった。

 10月10日に埼玉スタジム2002で行なわれたカタール・ワールドカップ・アジア2次予選で、日本はモンゴルに6-0の大勝を収めた。

 圧倒的な実力差がある格下にゴールラッシュを決め込んだ森保ジャパンのなかで、とりわけ際立った活躍を見せたのが、セカンドトップに入った南野拓実(レッドブル・ザルツブルク)と、右サイドアタッカーで先発に抜擢された伊東純也(ヘンク)だ。

 前者は、22分にヘディングで先制点を挙げると、33分には伊東とのワンツーで長友佑都のゴールを演出。キレのある動きでチームの牽引車となった。

 後者は、正確なクロスでその南野と長友のゴールをお膳立てすると、40分にも永井の頭にピタリと合わせて3アシストをマーク。自慢のスピードを活かした突破も光り、モンゴルのミヒャエル・ワイス監督も、「イトウはスーパーだった。日本の右サイドを食い止められなかった」と脱帽した様子だった。
 
 これまで森保ジャパンの攻撃の中心を担ってきたのは、左サイドの中島翔哉だった。だが、この試合に限っては、明らかに南野と伊東の出来のほうが上回っていた。

 9月シリーズにも招集され、二次予選の初戦となったミャンマー戦でもピッチに立ったふたりは、この1か月間に代え難い経験をしている。チャンピオンズ・リーグ(CL)に出場したのだ。

 奇しくも、両者のCLデビュー戦は同じ試合だった。9月17日に行なわれたグループEの第1節で対戦し、6−2でザルツブルクが大勝。個人のパフォーマンスでも、前半のみでベンチに下げられた伊東に対し、2アシストの南野に軍配が上がった。

 オーストリア王者の攻撃の要は、さらに第2節のリバプール戦で特大のインパクトを残す。2点をリードされて迎えた56分、見事なボレー弾を決めるのだ。その4分後には、右サイドからの正確なクロスで3点目をアシスト。結果的に3-4で敗れたとはいえ、前回王者を相手に敵地で1ゴール・1アシストをマークした南野は、2節のベスト11に選出され、ヨーロッパでの評価も一気に上昇した。

 モンゴルとの一戦を前に、南野はこのリバプール戦をこう振り返っている。
 
「トップクラスの選手なかで試合をするのは良い経験になるし、そこで何かしら結果を残すっていうのは、選手としての自信にもなる。その良かった経験と自信というのを、今回の代表に持ってきて、しっかりプレーできればいいかなと思います」

 欧州チャンピオンから見事なゴールを決めた男が、モンゴルを相手に怯むわけがない。言葉通り、南野は自信満々のプレーで攻撃の急先鋒となった。とりわけ、ゴールには繋がらなかったものの、右サイドで伊東からパスを受け、巧みな反転でひとりをかわして、さらにダブルタッチのような形で酒井宏樹にパスを出した25分のプレーには、貫禄すら感じさせた。

 一方の伊東は、ザルツブルク戦でほろ苦いCLデビューを飾った後、第2節のナポリ戦(0-0)ではフル出場。インターセプトから鋭いカウンターを繰り出すなど攻守に奮戦し、イタリア屈指の強豪からの勝点1奪取に貢献した。

 ポルトガル代表の左SBマリオ・ルイと、評価がうなぎ上りのスペイン代表MFファビアン・ルイスを向こうに回して、決して臆することなくアグッレシブなプレーを見せた快足アタッカーは、南野と同様にその経験を自信に変えたのだろう。

 モンゴル戦で見せた素早い仕掛けからの高精度クロスは、ベルギーで磨き続けてきた、いわば十八番のプレーで、それを代表の舞台で繰り返し披露できたのは、成長の証しだ。
 
 事実、これまでレギュラーだった堂安律ではなく、伊東をスタメンで送り出した森保一監督は試合後、「彼はいまチャンピオンズ・リーグでもプレーしている。そういった高いレベルで戦っているという自信を、今日のプレーで出しくれたと思う」と評価している。

 また、インテルでもガラタサライでもCLの舞台を経験している長友も、「やっぱり、あのスピード。チャンピオンズ・リーグも戦っている、高いインテンシティの中で戦っているからこそ、(モンゴル戦のような試合で)ああやって違いを生み出せる」と伊東を称えた。
 
 百戦錬磨のSBは、CLの「魔力」についてこう続けた。
 
「相手も凄いし、レベルの高い試合ができる。その中で自分が自信を持てるようになるんですよ、俺はチャンピオンズ・リーグを戦っているんだぞと。やっぱり、そういう自信を持つことが選手にとっては大きい。メンタル的な部分ですよ」

 9月シリーズでも連続ゴールを挙げるなど、これまでも主力の一翼を担ってきた南野だが、このモンゴル戦では中島の存在を希薄にさせるほどのプレゼンスを発揮した。かたや伊東は、スーパーサブ的な位置づけから、一気に堂安を脅かす存在となった。

 たった2試合、されど2試合――。世界最高峰の舞台であるチャンピオンズ・リーグは、経験した者にしかわからない「力」を持っているということだ。
    
取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)
 


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