【東京五輪世代の最新序列】ブラジル撃破でポジション争いの構図は?A代表の堂安、久保も一番手ではない!?

【東京五輪世代の最新序列】ブラジル撃破でポジション争いの構図は?A代表の堂安、久保も一番手ではない!?


 親善試合ながらブラジルを敵地で撃破したU-22日本代表。先制を許しながらも、田中碧の2得点、中山雄太のスーパーミドルで鮮やかな逆転勝ちを収めた。果たして、この大金星を掴んだブラジル戦を経て、それぞれのポジション争いはどのような構図となっているのか。今回のブラジル遠征に帯同し、五輪世代の戦いぶりをつぶさに取材してきた記者が、来夏の東京五輪に向けた各エリアの争いを展望していく。
(取材・文:飯尾篤史/スポーツライター)

――◆――◆――

【GK】
◎大迫敬介(広島)
○小島亨介(大分)
△谷 晃生(G大阪)
△オビ・パウエルオビンナ(流通経済大)

◎=レギュラー候補 ○=有力 △=バックアッパー

 すでにA代表デビューを果たし、広島でレギュラーを務める大迫の立ち位置は、盤石と言っていい。この世代のGK争いを牽引してきた小島は、大分で出場機会を掴めていないことが影響したか、今遠征には選出されなかった。

 代わって今回の二番手を務めたのは、G大阪U-23で経験を積む谷だ。昨年11月のドバイカップ以来の選出となった今回、U-20サンパウロとの練習試合でアピールに務めた。


【リベロ】
◎冨安健洋(ボローニャ)
○立田悠悟(清水)
△瀬古歩夢(C大阪)
△岡崎 慎(FC東京)

◎=レギュラー候補 ○=有力 △=バックアッパー

 このチームには18年のトゥーロン国際大会にしか参加していないが、A代表で確固たる地位を確立する冨安が、間違いなく一番手。二番手はこのチームの常連である立田で、今遠征でもU-22ブラジル戦でこのポジションを務めた。

 しかし、所属する清水でポジションを失っているのが気がかりだ。その点、今年6月のU-20ワールドカップに出場し、C大阪でも出番を着実に増やしている瀬古は、ポテンシャルを考えても、二番手争いに食い込んできてもおかしくない。
 

【ストッパー(右)】
○渡辺 剛(FC東京)
○原 輝綺(鳥栖)
△岩田智輝(大分)
△大南拓磨(磐田)

◎=レギュラー候補 ○=有力 △=バックアッパー

 初招集ながらU-22ブラジル代表戦でスタメンを飾ったFC東京の渡辺剛が一気に序列のトップに躍り出た。試合では序盤にPKを与えたものの、時間の経過とともに落ち着きを取り戻した。対人能力と戦術眼に優れる原も有力候補だが、鳥栖で定位置を掴み切れていないためか、U-22ブラジル代表戦では控えに回った。

 もっとも、コパ・アメリカの時のように4バックも併用するなら、サイドバックも務められる原や岩田のほうが重宝されやすい。また、ブラジル戦の終盤には橋岡もこのポジションを務めている。


【ストッパー(左)】
◎板倉滉(フローニンヘン)
○町田浩樹(鹿島)
△古賀太陽(柏)
△椎橋慧也(仙台)

◎=レギュラー候補 ○=有力 △=バックアッパー

 今年3月のミャンマー遠征や9月の北中米遠征、今回のブラジル遠征では町田がこのポジションを務めた。左利きでビルドアップ能力に優れ、高さもある町田は、このポジションに打ってつけの選手だろう。

 とはいえ、それ以前は板倉がこのポジションを務めてきた。A代表でもボランチとして考えられているが、所属するフローニンヘンでは最終ラインに入ることが多いため、このチームでも板倉の左ストッパー起用は十分あり得る。そうなれば、やはり板倉が一番手だろう。
 
【ウイングバック(右)】
○橋岡大樹(浦和)
○菅原由勢(AZ/オランダ)
△藤谷 壮(神戸)
△長沼洋一(岐阜)

◎=レギュラー候補 ○=有力 △=バックアッパー

 U-20世代が熾烈なポジション争いを繰り広げている。9月の北中米遠征でこのポジションを務めた橋岡は、浦和でも同ポジションを務め、プレーのクオリティを高めている。一方、急激な追い上げを見せているのが、菅原だ。オランダのAZでは右サイドバックを務め、ヨーロッパリーグでマンチェスター・ユナイテッドと対戦するなど、貴重な経験を積んでいる。

 今遠征では橋岡がU-22ブラジル代表戦でスタメンを飾ったが、甲乙つけがたいというのが正直なところ。攻撃力なら藤谷、長沼も負けていないが、藤谷は神戸で出場機会を掴めていない。長沼は愛媛で出場経験を積んでいるが、いかんせんJ2リーグ。やはり、J1やオランダで出場機会を増やす若いふたりに分があると言えるだろう。


【ウイングバック(左)】
◎杉岡大暉(湘南)
○遠藤渓太(横浜)
○菅 大輝(札幌)
△川井 歩(山口)

◎=レギュラー候補 ○=有力 △=バックアッパー

 今や湘南で不動のレギュラーを務め、守備面での計算の立つ杉岡が、一番手なのは間違いない。ただし、遠藤が杉岡に劣っているかというと、そんなことはない。左サイドバックが本職の杉岡に対して、遠藤の本職は左ウイング。つまり、彼らのチョイスはチーム戦術に依るところが大きいのだ。

 菅も本来は攻撃的なアタッカーだったが、札幌で同ポジョションに起用され、守備力を高めてきた。一方、川井は今回、負傷した遠藤に代わって追加で招集された。U-20サンパウロとの練習試合では右ウイングバックとして先発したが、本職は右サイド。今後の招集では右アウトサイドで起用されるかもしれない。
 

【ボランチ】
◎中山雄太(ズウォーレ/オランダ)
○田中 碧(川崎)
△田中駿汰(大阪体育大)
△齊藤未月(湘南)
△松本泰志(広島)
△渡辺皓太(横浜)

◎=レギュラー候補 ○=有力 △=バックアッパー

 このチームのキャプテンであり、コパ・アメリカにも参加した中山が、レギュラー格なのは間違いない。所属のズウォーレではリーグ戦2試合の出場に留まっているが、これは怪我の影響があってのこと。今後ポジションを奪い返す可能性は低くない。

 パートナーとして急浮上したのは、田中碧だ。6月のトゥーロン国際で初選出されると、今回のU-22ブラジル代表戦では2ゴールと存在感を一気に強めた。

 二番手、三番手は混沌とした争いになっている。今遠征に参加した田中駿と渡辺皓は負傷のためにU-22ブラジル代表戦を欠場し、アピールできなかった。これまでボランチの争いでリードしてきた松本は、広島でポジションを失った状態だ。となると、今回は未選出だが、湘南で確固たる地位を築く齊藤が一歩リードか。
【シャドー】
◎三好康児(アントワープ/ベルギー)
◎久保建英(マジョルカ/スペイン)
○堂安 律(PSV/オランダ)
○食野亮太郎(ハーツ/スコットランド)
○安部裕葵(バルセロナB/スペイン)
△森島 司(広島)
△三笘 薫(筑波大)
△旗手怜央(順天堂大)
 
◎=レギュラー候補 ○=有力 △=バックアッパー
 
 難しいのが、すでにA代表に選出されている久保と堂安の扱いだ。それでも久保は、3月のミャンマー遠征に参加するなど、このチームでのプレー経験があるが、堂安はこのチームに選出されたことがなく、この世代が中心となって出場したコパ・アメリカにも参加しなかった。それゆえ、コンビネーション等を含め、ポジション争いでリードしているとは思えないのだ。
 
 となると、10番を背負う三好が一番手と見るべきだろう。今夏に移籍したアントワープでは、デビュー戦でゴールを決め、国内カップ戦でも2得点をマークするなど、得点への意欲を強めている。また、今遠征が初選出だった食野は、得点力と推進力を示し、アピールに成功した。9月の北中米遠征で存在感を示せず、今回のブラジル遠征への参加を見送った安部と序列は入れ替わったと見るべきだろう。
 
 
【CF】
○上田綺世(鹿島)
○前田大然(マリティモ/ポルトガル)
△小川航基(水戸)
 
◎=レギュラー候補 ○=有力 △=バックアッパー
 
 これまで主力だった鹿島の上田とマリティモの前田が招集外だったため、小川にとって格好のアピールの機会だったが、U-22ブラジル代表戦のみならず、U-20サンパウロとの練習試合でも不発。序列をひっくり返す千載一遇の好機を生かせなかった。
 
 一方、上田と前田の序列は、どちらが上か判断するのが難しい。上田は典型的なストライカータイプで、前田は脚力が武器のスピードスター。ともにスーパーサブとしても働くことができ、前田はシャドーでもプレー可能。対戦相手やゲームプランによって、序列は入れ替わることになりそうだ。

取材・文:飯尾篤史(スポーツライター)


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