[E-1選手権2019]日本5−0香港/12月14日/釜山九徳スタジアム

 横浜をJ1制覇に導いたひとりが、仲川輝人だ。右ウイングを生業としたアタッカーは、今季リーグ戦33試合・15得点をマーク。自慢の快足を武器に度々勝負どころでゴールを決め、チームに勝利をもたらしてきた。

 JリーグMVPと得点王を“W受賞”した仲川が、代表に招集されるのは必然と言える。

 しかし、満を持して代表デビューを果たしたE-1選手権・2戦目の香港戦。大きな期待とは裏腹に、その試合で見られたのは、思うようにプレーできず四苦八苦している仲川の姿だった。

 E-1選手権で日本代表の森保一監督は3−4−2−1を主戦システムとして採用している。仲川に割り当てられたのはシャドーのポジションだった。

 ところがウイングが本職の仲川にとって中央エリアに位置するシャドーはかなり窮屈だった。実際に香港戦では、そもそもポジショニングに困惑し、ボールを受けて前を向けたとしても、そこからなかなか突破できずに持ち前のスピードは鳴りを潜めた。
 
 中央エリアを縦に突破するのに必要なのは、スピードではなく細かいテクニック。密集地帯に向かっていくことになるのだから、DFに囲まれても奪われないだけのボールスキルと視野がモノをいう。サイドで縦の広大なスペースに仕掛けるドリブルや相手から逃げるようにピッチを横断するカットインとは求められる能力が違う。

 スピードタイプの仲川が得意とするのはサイドでのドリブルで、中央突破ではない。もちろん仲川のテクニックが優れていないわけではないが、最大のストロングポイントを活かすなら、ピッチ中央に置くべきではないということだ。

 仲川本人は「新たな自分の開拓というか成長が出来る。慣れてくればポジションの仕方も見えてくると思う」とシャドー起用に前向きではある。もちろん選手からすれば起用されたポジションで要求に応えるのが仕事なのだから、そういうのも納得ではある。

 ただし、仲川は今年のJリーグMVPである。そんな実力者を、持ち味の活かしづらいポジションで起用するのはもったいないし、それが得策とは思えない。
 起用法を提案するなら、ウイングバックだ。サイドに大きく開いた位置から仕掛けられるこのポジションは、横浜で担うウイングにもっとも近い感覚でプレーできるはずで、間違いなくシャドーよりは特徴を発揮しやすい。

 攻撃的なプレースタイルで上背もない仲川はディフェンス面に不安があるかもしれないが、それでも今季の横浜ではプレスバックをしっかりこなしていた。スタミナの面では問題はないはずだし、守備の意識も低くはない。十分に務まるだろう。それに横浜で左ウイングを務める遠藤渓太が代表ではウイングバックで使われているのを踏まえれば、仲川に置き換えて考えてみても、まったく不思議ではない。
 
 もしくは、ウイングのポジションを作ってしまうか。つまり3トップを置くシステムにするということだ。指揮官が「サッカーにおいては、どんなシステムでも原理原則は変わらない」と言うのであれば、なにも森保監督が就任当初から採用する3−4−2−1、もしくは2トップの一角が下がり目の4−4−2(4-2-3-1)にこだわる必要もないだろう。

 むしろ、両サイドにより個の打開力が求められる4−3−3や3−4−3を使ってみたら意外とハマるかもしれない。今後のひとつのオプションとして、ウイングを置くシステム――いわゆる“仲川システム”を試してみてもいいのではないか。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)