2月8日、サンガスタジアム by KYOCERAのこけら落としとなる、京都サンガF.C.とセレッソ大阪のプレシーズンマッチが行なわれた。京都のサッカー関係者や、京都サンガのファン・サポーターたちが切望していた新スタジアムの初戦は、前売りチケットが完売。当日は朝から雪が降るなどあいにくの天候だったが、約1万8千人の観客がJR亀岡駅の目の前にある球技専用スタジアムを訪れた。

 そこには夢のような空間があった。客席から眺めるピッチは目と鼻の先。全席が屋根で覆われたことで、雨天時にも一定の観戦環境が保たれることはもちろん、サポーターの声援の反響は高揚感あふれる雰囲気を作り出すことにも、ひと役買っている。青々と茂る天然芝の上では選手たちが溌溂とプレーし、ピッチ状態がプレーに悪影響を及ぼしていた西京極とは見違えるようだった。サンガスタジアムでは霧が発生しやすい亀岡市の気候を考慮して、セレブレーションという日陰に強い品種が使われている。国内では、日産スタジアムに次いで2例目の採用だ。

 また、試合前には京都府出身のロックバンド“夜の本気ダンス”がライブパフォーマンスを行なった。楽曲の中に京都パープルサンガ時代にサポーターが歌っていた応援歌を取り入れたり、ドラムの鈴鹿秋斗が「行くぞJ1!」とサポーターに呼びかけるなど、会場を盛り上げている。

 試合は前半から両チームがネットを揺らすなど、合計5ゴールが生まれる盛り上がりを見せた。新スタジアムを体感した監督や選手からは、賞賛の声が相次いでいる。記者会見では経験豊富なスペイン出身のロティーナ監督が「サッカーをプレーするためのスタジアムで、観客席もピッチにとても近い。2万人という収容人数(最大収容人数は2万1600人)も、ちょうどいい。このスタジアムと京都サンガの幸運を祈っている」と話し、前線で存在感を見せ付けたピーター・ウタカは「ファンタスティック、ビューティフル、アメイジング」と絶賛。今季から主将を務める安藤淳も「これまでいろんなチームのサッカー専用スタジアムでプレーしたけれど、最初にピッチに入った時の応援にはすごく興奮した。こんな雰囲気でホームゲームを戦えれば、間違いなく力になる」とプロ生活14年目を迎える自身のキャリアの中でも、最大級の印象を受けたようだ。
 
 一方で嬉しい悩みもあった。客席とピッチの距離が近いが故に、選手間の声が通りにくかったのだ。ウタカは「まるでプレミアリーグみたい。(サポーターの)声がずっと舞っている感じで、近くの選手同士でもコミュニケーションを取るのが難しかった。(手や腕を使った)サインやアイコンタクトが重要になってくる」と話し、荒木大吾は「サポーターの声援がダイレクトに届くのは、気持ちが高まるという良さもある。(選手は)大きな声で話していくしかない」と振り返っている。

 なにしろ、これまでの西京極の観客席の最前列と、新しいサンガスタジアムの最後列の、ピッチからの距離が同じくらいなのだ。観客の入りがリーグ戦でどのようになるのかにもよるが、選手たちは新しい環境に適応していく必要があるだろう。

 試合後には、こんな一幕もあった。京都の選手たちがアウェーゴール裏へ挨拶に向かうと、セレッソ大阪サポーターから『素晴らしいスタジアムと共に、次はJ1で会いましょう!』という横断幕が掲げられたのだ。そして両チームのサポーター同士で、エール交換も行なわれた。この粋な計らいを目にした京都サポーターからは「サンガスタジアムの初戦の相手がセレッソでよかった」という声も聞かれている。

 そのセレッソ大阪のキンチョウスタジアムが2021年3月に改修を終えると、関西4クラブ全てが専用スタジアムで試合を行なうことになる。今後は運営や演出などでクラブの特色や企画力が、より問われることになるだろう。京都にとって、今回のプレシーズンマッチは初めての開催ということもあり、手探りな面があったことは否めないが、3月1日にホーム開幕戦を迎えるJ2リーグや、3月27日に行なわれるU-23日本代表対U-23南アフリカ代表の視察などでノウハウを蓄積していく。このスタジアムのスペックを最大限に引き出そうと、各部署の社員やスタッフは高いモチベーションで今季を迎えている。

 昨季はJ1昇格争いに絡んで、復活への兆しを見せた京都。新スタジアム元年を迎える今季、サンガスタジアム by KYOCERAで果たしてどのような試合やイベントが行なわれるのだろうか。モダンテイストあふれる『行く価値あり!』なスタジアムでの飛躍が期待される。

取材・文●雨堤俊祐(フリーライター)

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