昨年J2を制覇した柏は、移籍が噂されたオルンガ、中村航輔をはじめとした主力メンバーが残留し、そこに他クラブでレギュラーとして活躍していた多くの新戦力が加わった。

 2月9日に行なわれたJリーグプレシーズンマッチ、ちばぎんカップでは2−0で千葉を下し、開幕に向けて順調な仕上がりを印象付けている。

「積み重ねてきたものを継続して今シーズンもやるだけ。特に戦い方を変える必要はない」

 今季のチーム始動時、ネルシーニョ監督はチームの方向性について、そう明言している。昨年の1年間の戦いを通じて間違いなくチームのベースは出来上がった。したがってネルシーニョ監督の戦術を熟知した選手たちには一日の長がある。昨シーズンの主力メンバーが、ちばぎんカップのスタメンに名を連ねるのは必然の流れだ。

 しかし、キャンプ中に行なわれた今年最初の対外試合は、スコア上では3−0と勝利を収めたものの、JFLのテゲバジャーロ宮崎に苦戦を強いられた。特に主力メンバーが出場した1本目は、ボールを奪われた後の切り替えが遅れ、中盤に与えた不用意なスペースを使われて押し込まれる場面が見られた。
 
「うまくプレスのスイッチを入れたけど、そこで外されて…という後手の展開が多かった。相手に動かされてしまったので体力のロスが多かった」

 宮崎との練習試合後、染谷悠太はチームが機能しなかった原因を述べた。ただ、それは戦術的な問題が発生したというよりは、コンディションが上がっていないゆえに運動量が少なかったことが、苦戦の根本的な原因でもあった。

 大谷秀和は「目の前の試合に対して、選手が前向きに100%で取り組めている。それぞれ競争がある中でポジティブな空気をみんなが出しているし、フルコートで試合をやったことでコンディションも上がるので、次の試合では違うものが見せられる」と、苦戦の後にも、その時点の状況をポジティブに捉えていた。
 キャンプ最終日の練習試合は非公開だったため、直後にチームのパフォーマンスがどの程度向上したかは定かではないが、前述の大谷の言葉通り、ちばぎんカップでは明らかに各選手のコンディションは改善されていた。それに伴い、戦術的にも宮崎戦の課題が修正されて、不用意なスペースを千葉に突かれる場面はなかった。オルンガ、クリスティアーノの二枚看板には得点が生まれ、MVPを獲得した江坂任も軽快な動きでチームの攻撃にリズムをもたらした。
 
「一発目の公式戦ということで、序盤はゲームのテンポの部分で心配もあったが、ゲームを通して良いテンポでボールを動かせた」(ネルシーニョ監督)
 
 新戦力に関しては、ちばぎんカップでは呉屋大翔、神谷優太、キム・スンギュに限られた出場機会しか与えられず、新戦力のフィット具合を測るには材料が少なすぎたが、これは翌10日にも千葉との練習試合を控えていたという事情がある。その練習試合では呉屋が先制点を決め、多くの新戦力が90分間のプレーの中でアピールに成功した。チームの仕上がりと新戦力の順応には指揮官も手応えを感じている。
 
「ここまで非常に良い準備ができている。選手たちは高い意識を持ってこちらの要求に応え、今年は非常に質の高い選手たちが揃っているため競争も激しい。その中で選手たちは自分の役割をこなそうとやってくれているので、私個人的には良いシーズンになると思っている」(ネルシーニョ監督)
 
 昨年からの継続性があり、ここまでの仕上がりは順調。新戦力の加入によってチーム内の争いも活性化している。
 
 2020年シーズンのJ1に、旋風を巻き起こす準備は整った。
 
取材・文●鈴木 潤(フリージャーナリスト)

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