Jリーグの開幕まで2週間を切った。各チームは1月上旬から始動しており、今季に向けた準備が着々と進んでいる。今季からJの舞台に加わった“高卒ルーキー”たちも新たな環境で奮戦。先輩たちに混じってアピールを続けており、早期デビューを虎視眈々と狙っている。

 すでに鹿島アントラーズでは、東福岡高出身の荒木遼太郎が活躍中だ。高校サッカー選手権への出場は叶わなかったものの、この期間を休養に当てられたのが追い風となったようだ。チーム始動日から合流し、右サイドハーフで存在感を示すと、宮崎キャンプのテゲバジャーロ宮崎戦で先発出場して1得点。続く2月1日の水戸ホーリーホックとのプレシーズンマッチ『いばらきサッカーフェスティバル』でも、チームの決勝点を奪うなど、技術力の高さを存分に発揮している。鹿島はACLのプレーオフで敗退したため、グループステージから戦うルヴァンカップがあるのはアドバンテージ。公式戦でザーゴ監督の目に留まれば、リーグ戦で出番を掴む日もそう遠くはないはずだ。

 また、高校サッカー選手権で静岡学園高の優勝に貢献した松村優太も評価が高く、多彩な技術で3パターンのドリブルを使い分けるというアタッカーの伸びしろは十分。コンディションが上がってくれば、ルヴァンカップでチャンスが回ってくるだろう。

 一方で、尚志高から加わった高校No.1ストライカーの染野唯月はリバビリの真っ最中。まずは昨年11月下旬に痛めた腰の状態を回復させながら、プロの水に慣れることになりそうだ。

 浦和レッズでは、武田英寿(青森山田高出身)が調子を上げている。沖縄キャンプのトレーニングマッチでは鮮やかなドリブル突破から、持ち前の巧みな左足でネットを揺らした。その後もアピールを続けており、今週末に開催されるルヴァンカップでも活躍が期待できそうだ。

 その武田と青森山田高時代に中盤でコンビを組んだ古宿理久は、中学時代を過ごした横浜FCに加入。キャンプでは4-2-3-1のダブルボランチで起用されているが、現状では4番手。プロのプレースピードに慣れながら、まずはルヴァンカップで出場機会を掴むことが直近の目標だろう。
 
 セレッソ大阪に加入した西川潤(桐光学園高出身)も、順調に調整を続けている。宮崎キャンプでは序盤こそチームの戦術に戸惑いを見せたものの、日を追うごとに適応。キャンプ最終日の2月2日に行なわれたV・ファーレン長崎との練習試合ではヘディングでゴールを奪取。現状では右サイドハーフの2番手で「まだ90分間は耐えられる状態だとは思っていない」とミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が話すが、今後のアピール次第では開幕スタメンも少なからずあるはずだ。

 同じくC大阪に加入した田平起也(神戸弘陵学園高出身)も懸命なプレーで可能性を示している。当初はU-23チームのキャンプに参加する予定だったが、188センチで左利きのCBという武器を指揮官に評価されてトップチームに抜擢。キャンプではプロのスピードに翻弄される場面もあったが、得意のフィードで存在感を発揮していた。今週末のルヴァンカップも含め、早い段階でトップチームデビューを飾ったとしても不思議ではない。

 J2では、ユースから昇格した東京ヴェルディの藤田譲瑠チマが面白い。昨季、4試合に出場した俊英は4-3-3のアンカーでプレーし、ボール奪取能力の高さを発揮。空間認識能力にも長けており、スペースを瞬時に見出す術はチームでもトップクラスだ。このままアピールを続ければ、レギュラー取りも見えてくる。

 先の選手権で帝京長岡高を初のベスト4に導いた晴山岬と谷内田哲平は、新たなステージで奮闘中だ。町田ゼルビアに加入した晴山は高校選抜の活動でキャンプを一足先に離脱したが、4-4-2のセカンドトップなどで存在感を発揮。京都サンガの谷内田は「フィジカルを鍛えないといけない」と課題を口にしながらも、4-3-3のインサイドハーフで懸命にプロのレベルに慣れようともがいている。昨季の高校サッカー界を牽引したふたりにも注目だ。

 その他では興國高出身の高安孝幸がアピール中。今季から加わったツエーゲン金沢では右SBでプレーしており、現在は2番手の立場。スピードを生かした仕掛けは高く評価され、チーム状況によっては開幕戦のピッチに立つ可能性も大いにあるだろう。

 ここで触れた選手以外にも、今季の高卒ルーキーは逸材が揃う。果たして、何人の選手が台頭するのか。まずは今週末に幕を開けるルヴァンカップや来週のリーグ開幕戦で、何人の選手がデビューを果たすのか注目だ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)