イニエスタから面白いようにスルーパスが繰り出される。神戸にとって、初めて迎えるACLの舞台。その初戦となったジョホール・ダルル・タクジム(JDT)戦で、トップ下の位置に入った名手の存在感は際立っていた。


「チームとしても個人としても、ACLで良いデビューを飾ることができた。チームとして重要な勝利を収めることができたし、たくさんのゴールチャンスを作ることもできたから」

 5-1の圧勝劇を涼しげな表情で振り返ったイニエスタは、今季公式戦初戦となったゼロックス・スーパーカップの横浜戦からポジションを変えていた。横浜戦での布陣はチームがベースとしている3-1-4-2の左インサイドハーフ。このJDT戦で4-2-3-1へと変わったなか、イニエスタはトップ下で起用された。

 その意図を、フィンク監督はこう説明する。
「今日は相手が4-3-3で来ると想定していたので、我々は4-2-3-1で挑もうと思った。イニエスタに関しては、より相手のゴールに近いポジションに置くことによって、守備の負担を軽減して、より攻撃面でクリエイティブなところを出してゴールに絡んでもらおうと考えていた。彼はつい最近も試合(ゼロックス杯)があって、そこでも90分間フル出場していた。負担を減らし、才能を最大限に生かすために高いポジションに置いた」

 両ワイド、そしてボランチに走力のある4人が入り、1トップのドウグラスの後方でイニエスタが自由に動く。ビルドアップに苦しんでいた13分、最終ラインに下がってボールを受けると、最終ラインの裏へ走り込んだ小川へロングパスを通して先制点をアシスト。58分には左サイドから酒井への絶妙なパスで3点目をお膳立てし、72分には右サイドの深い位置からGKの頭上を越すループパスで小川のハットトリック達成、チーム5点目をアシストした。

 得点シーンだけでなく、42分に魅せたヒールパスからのスルーパスや、87分に藤本へ通したパスも観衆を唸らせた。30分以降はチームとしても安定したこの布陣が、今後も継続して使われることはあるのか。

 その問いに答えるかのように、フィンク監督は「もし相手が強ければ3バックに変えることもあるので、これに固定するわけではない」と否定した。確かに、守備時に5バックとなる3-4-3に比べ、4バックではカウンター時に後方の人数が少なく、ピンチに晒される場面もあった。ディフェンスの強度をいかに保てるかが、今後の戦いにおけるひとつのカギとなるだろう。

ただ、実力で大きく劣る相手だったことを差し引いても、イニエスタの攻撃力を最大限に発揮できるシステムが大きな可能性を感じさせたことは間違いない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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