新型コロナウイルスの影響によって、世界は混沌としてきている。とりわけ欧州では感染状況が深刻化し、サッカー界も各国リーグが中断や打ち切りを余儀なくされるなど、小さくないダメージを負っている。

 そんななかで、フランスではあるひとりの名将と、彼を支持するサポーターたちが見せた行動が話題を呼んでいる。

 事の発端となったのは、リーグ・アンの古豪ナントの元監督レイノー・ドゥヌエ氏の行動だ。フランス・メディア『EUROSPORT』によれば、同クラブが最後にリーグを制した2000-01シーズンに指揮を執っていた名将は、新型コロナウイルスと闘うナントの大学病院センター(CHS)に寄付をするために当時の優勝メダルをオークションに出品したのだという。

 しかし、これを聞きつけたサポーターたちがすぐさま動く。現役時代もナントでプレーした元監督が競売にかけたメダルを返還するために寄付金を募集したのだ。宿敵レンヌをはじめとするライバルクラブたちのサポーターからも集まった金額は1万2600ユーロ(151万2000円)にも及んだという。

 これを使ってナント・サポーターはメダルを購入し、すぐさまドゥヌエ氏に返還。さらにCHSにも1万5000ユーロ(約180万円)の寄付をしたという。

 世の中が殺伐としているなかで、何とも心温まるエピソードだ。『EUROSPORT』の取材に応じたナントのサポーターグループの代表は、今回のメダル返還について、こう語っている。

「まずはフランス人として監督に感謝しなければいけない。ドゥヌエは何よりも集団の強さを信じてきた人だったからそれを証明したかった。このメダルはサポーターにとっても貴重な共通の遺産だし、何よりもこのメダルは彼が成し遂げたこととフランス・サッカー界に残した功績を象徴するものだから彼が持つべきなんだ」

 その他のフランス・メディアもナント・サポーターたちの振る舞いを絶賛。『SO FOOT』が、「これ以上にない団結」と称えれば、地元紙『Ouest France』は、「偉大な連帯。フランスの元王者は、その気品を失っていなかった」と綴った。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部