世界最高のプレースキッカーのひとりであるリオネル・メッシ。とりわけ“黄金の左足”から放たれる魔法のような直接FKは、十八番となっている。

 その精度は歳を重ねるごとに高まっている。

 あらゆるスポーツのデータを紹介している『Opta』によれば、プロデビューを飾った2004年から15年途中までは、174本の直接FKを蹴ってネットを揺らしたのは12本で、成功率は6.9パーセントだった。だが、2015-16シーズン以降は同じく174本を蹴って実に22本を成功。決定率は12.6パーセントにまで上昇しているのだ。

 キャリア通算でも直接FKから実に50ゴールを決めているメッシ。一体なぜ彼のキックは鋭さを増しているのか? その秘密を科学的な視点から切り込んだのは、英メディア『Squawka』だ。

 同メディアのポッドキャスト番組での取材に応じたスポーツ医学の権威でもあるライパル・ブラル氏は、「蹴る時の重心がポイントだろう」と分析した。

「メッシはボールを蹴る際に、腰を大きく右側にスライドさせている。それは左足で正確かつパワフルにボールを蹴るためで、文字通り腰をずらしているんだよ。

 その時に、軸足である右足には全体重がかかっている。そして左足でボールをインパクトする際、左足が左から右方向へと移っていく。そして、すべての負荷も右に移っていくため、彼の右足の外側は捻挫のような状態になっているんだ」
 
 曰くメッシのキックモーションは負荷がかかり過ぎるため、普通の人であれば、捻挫を起こしてしまうという。

「我々はあのキックの時に彼の足に起きている現象を『反転捻挫』と呼ぶ。通常ではすべての力が足首の外側にかかる場合、内側に捻じりが起きてしまうからね。だがしかし、メッシの場合、その動きを制御するため彼自身の身体を訓練したようだ」

 スポーツ医学のスペシャリストをも驚かせたメッシ。その常人離れしたフィジカルが、異次元のパフォーマンスを生み出す秘訣のようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部