新型コロナウイルスの感染拡大で、Jリーグ再開の目途が立たないなか、5月1日、川崎の鬼木達監督が現在の率直な想いを語ってくれた。

 オンラインツールを利用して久々に報道陣の取材に応じた指揮官は、「皆さんも元気であってほしい」と周囲を気遣いながら、近況を説明。チームは活動を休止しているなか、選手たちに特定のトレーニングメニューは渡しておらず、「今はとにかく医療従事者の方々のためになにができるか、大事なのは自分たちが感染しない、そして感染させないということ。そこに重きをおいてほしいということ、そして選手、家族の健康が第一だということを伝えています」と話した。

 リーグ中断が長引くなか、一部ではヨーロッパのレギュレーションと合わせる形で、秋春制(8〜9月頃に開幕し、来年の春先に閉幕する日程)を導入すべきとの意見も出ている。そうした声には次のように答える。

 
「9月開催が良いというのはそんなに、(考えて)ないっていったら変ですが、自分たちが考えているのはやはり日程が決まってくれれば、そこに向けて思いっ切りやっていきたいということです。(日程がさらに)スライドしていけば、すべての人が大変なのかなという気持ちはあります。

 ヨーロッパに合わせていくのは新たなチャレンジとしては良いと思いますが、そういうことをできるマンパワーが今あるのか、というところにつながると思います。最前線で戦っている医療従事者の方々に迷惑がかかるということだったら我慢をしなくちゃいけないですし、優先順位はそこが大事かなと思いますね」

 また再開後に予想される無観客試合に関しても「自分も選手も、もちろんサポーターの方がいるなかでやりたい想いはあります。ただ今、大事なのは自分たちの仕事をしながら、感染をしない、感染をさせないということ。特に医療従事者の方々に負担をかけないことが大事。そのなかでサッカーをできる幸せを感じたいです」と言葉を続けた。
 リーグ再開に向けては、選手たちのコンディションを整えるために、一定のトレーニング期間を設ける必要がある。選手のメンタルケア、怪我の予防などもテーマになるだろう。

「単純に始まるのであれば、良いサッカーを見せたいという想いはあります。ただそれと同時に、このままいくと、連戦が目に見えています。もちろん各チーム良いコンディションで試合を迎えたいという想いはあるでしょうし、ある程度、(再開までの)時間を設けられたほうが良いと思います。チームの戦術云々もありますが、それよりも大事なのは命だったり、怪我だったり、そういうものになるはずです」

 そして怪我のリスク軽減に向けて導入が噂れる交代枠を5人に増やす新ルール(通常の交代枠は3)に関しても「現状で(導入に関して)戦術的な面では考えてないです。ただ怪我のリスクを減らすにはなにかをやらなくちゃいけないと思います」と説明した。
 今後、延長される可能性が高い緊急事態宣言も、大きな影響を及ぼしそうだが、その点に関しては「仕方ないと言ったらあれですが、クラブとしても協力しようとやってきているので、収束が少しでも進むのであれば、しっかり受け入れて自分たちは与えられた中でやるのが使命だと思っています」と話す。

 多くの質問に冷静に、また温和に答える姿が印象的だった鬼木監督。今後はチームの活動再開に向け、様々な壁が待ち受けているはずだが、「自分たちにできることをまずしっかりやりたい」という想いで、困難に挑みそうだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)