今からちょうど3年前、ロシア・ワールドカップのメンバー23人の発表が迫ったタイミングで、「この23人でロシアW杯を戦え?」という特集をサッカーダイジェスト本誌で組んだ。解説者、識者など総勢50人に理想の23人を選んでもらったが、そのひとりとして回答した自分がそこで最大のキーマンに挙げたのが、川崎フロンターレの大島僚太だった。

 どの試合も日本が押し込まれる展開になるだろうと予想していた本大会で、守備から攻撃に移る際に大島の展開力は西野ジャパンの命綱になると考えたからだ。ファーストタッチの質、パスの精度、当時の代表チームの中でも群を抜いて上手いように映った大島はきっと、コロンビアとのグループリーグ初戦にスタメン出場するだろうと勝手ながら期待していたのである。

 実際、大島は5月30日のガーナとの親善試合でボランチとしてフル出場。鋭いスルーパスなど”らしさ“を十分に発揮すると、スタディオ・コルナレドで行なわれたスイス戦(6月9日)でもスタメンに名を連ねて71分に交代するまで繋ぎ役として機能した。

 
 しかし、スイス戦の翌日。その試合で「左腰を痛めたため、代表練習を回避。ホテルのプールなどで別メニュー」との情報を、代表チームに帯同中のスタッフ(広報)から直接聞いた。大島は、オーストリアのインスブルック郊外にあるゼーフェルトでの合宿で全体練習から離脱した最初の選手となった(もちろんその後復帰するが)。

 そして、この離脱を境に大島の立ち位置が変化した。代わりにボランチで序列を上げたのが柴崎岳だ。ガーナ戦、スイス戦はいずれもサブ扱いだった柴崎が、6月12日のパラグアイ戦で先発出場すると司令塔として大活躍。プレースキッカーとしても存在感を放つなどして、結果的に西野朗監督の信頼を掴むことになったのだ。

 迎えたロシア・ワールドカップ初戦、コロンビア戦のピッチに立っていたのは柴崎だった。一方、大島は決勝トーナメント1回戦のベルギー戦まで一度も出番なし。ワールドカップのピッチに立てないまま、ロシアをあとにした。
 
 ちょっとしたことで選手の運命は変わるんだなと、ワールドカップの現地取材を通して思った。”運命“と言うと大袈裟に聞こえるかもしれないが、4年に一度の大舞台で試合に出られるか、出られないか、そこには大きな差があるように感じる。

 だからといって、大島を批判しているわけではない。むしろ、あの才能に惚れているし、いずれ日本代表の主力になるとも確信している。ただ、森保ジャパンでは柴崎が不動の地位を築きつつある一方で、大島の立ち位置は不透明。現時点で両者の間に差があるのもまた事実だ。
 
 大島はここからどう巻き返していくのか。その才能に疑いの余地はないし、努力だけでは培えない天性のセンスも大きな武器だ。怪我に注意して、あとは”ちょっとした運“さえあれば──。いずれ日本代表を支配できるマエストロ(指揮者)になれると、そう確信している。

文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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