今や世界最高のフットボーラーの一人と称されるクリスチアーノ・ロナウド。だが、これまでのキャリアの全てが順風満帆だったわけではない。

 まだ18歳だった2003年の夏にアレックス・ファーガソン(当時のマンチェスター・ユナイテッドの監督)の熱烈な勧誘を受け、“レッドデビルズ(ユナイテッドの愛称)”の一員となったCロナウド。だが、世界から注目を浴びるようになった当初は、感情の起伏が激しく、人目をはばからずに涙した。ゆえにメディアから“クライベイビー(泣き虫、赤ちゃんの意)”と揶揄されていた。

 そんな泣き虫が、いかにしてスターダムをのし上がったのか? 英衛星『Sky Sports』の番組『Football Show』で、当時のチームメイトでもあった元イングランド代表DFのガリー・ネビルは、“転換期”があったと語っている。

「ロナウドが変わったのは、2006年のドイツ・ワールドカップの直後だ。それまでの約2年間、あそこまで素晴らしく、ハングリー精神に溢れた彼を見たことがなかった。それまで、彼を世界最高の選手になれるなんて言うことはなかった。

 そんな風に考える選手はほとんどいなかったと思う。信じていたのは、サー・アレックスとヘッドコーチだったカルロス・ケイロスだけだった」
 
 奇しくも、ユナイテッドのチームメイトだったウェイン・ルーニーの退場を巡って騒動となったイングランド代表戦などを経験したドイツW杯を機に変化したというC・ロナウド。ユナイテッドの元主将は、その変貌ぶりをこう説明している。

「ワールドカップから戻ってきたロナウドは、驚くほどに成熟していた。そもそも外見からして変わっていたんだよ。それまでの彼はだらしがなくて、当たりにもあまり強くなかった。けど、一晩にしてミドル級のボクサーに変わった感じだった。その時から彼は生まれ変わり、すべてが上手くいくようになった。そして僕らも特別な存在になると思い始めたんだ」

 さらにG・ネビルは、同時期にメンタル面での成長も見られたと指摘した。

「彼の向上心は、この世のものとは思えないぐらいに飛びぬけていた。個人タイトルが重要だと語るようになったんだよ。そういうことを言える選手は少ない。大半の選手は『チームの方が重要だ』と言うが、『僕は世界最高の選手になりたい。それがチームのためにもなる』と言っていたからね。でも、そうした世界一になりたいという意欲こそが、彼をそこに押し上げた理由でもあるのだろう」

“クライベイビー”から大きく変貌し、5度のバロンドール受賞を果たすなど、現代サッカー界、いやサッカー史に残るスターとなったC・ロナウド。その輝きは35歳となった今も増すばかりだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部