高精度のキックや推進力のあるドリブル、思い切りの良いシュートが武器の清水の西澤健太。昨季はプロ1年目ながら23試合に出場し、チーム2位の7得点と好成績を残した。

 クラブの中心選手へと成長した西澤だが、12歳から6年間プレーした清水のアカデミーを卒業後、トップチームへは昇格できなかった。「もちろん悔しかった。でも(自分の)強みを大学の4年間で見つけることをテーマに頑張ろうと思えたので、良いモチベーションをもらえました」と前向きに気持ちを切り替えた。

 その後、進学した筑波大では毎日のようにクロスやシュート練習に取り組み、「プロの舞台で特長を発揮できているのは4年間の積み重ねがあったから」と振り返る。さらに「ひとりになる時間が多くて、自分になにが必要で、なにが足りないのか、などの考える習慣が身に付いた」とサッカー以外でも様々なことを学んだ。
 
 そんな大学時代に特に慕っていた先輩が1学年上の中野誠也(現・磐田)だ。

「中野さんは常に後輩のことを気に掛けてくれて、よくご飯に連れていってくれました。そしてピッチ上では、なによりもチームを優先に考えていて、それを側で見ていて勉強になりました」

 また、「誰にも言ってないかもしれない」と前置きしたうえで背番号にまつわるエピソードを教えてくれた。

「中野さんが磐田で16番を背負っていて、僕が清水の入団した時、クラブに『背番号はなにがいい?』と聞かれ、ちょうど16が空いていました。だったら同じ背番号にして静岡ダービーで戦いたいなと思いました」

 ただ、昨季は中野がシーズン途中に岡山へレンタル移籍したこともあり、静岡ダービーでの対戦は実現しなかった。また、今季は清水がJ1に所属しているものの、磐田が戦う舞台はJ2で、新型コロナウイルスの影響によってJ2クラブは天皇杯に参加せず。したがって、今季は公式戦で静岡ダービーを見られない。

 もっとも中野は昨年の10月に左膝前十字靭帯損傷で6か月の大怪我を負ってしまった……。

 西澤にとって中野は「本当にお世話になった」先輩。ピッチ上で成長した姿を見せる、そんな“恩返し”は来季以降になるが、その時まで同じ「16番」を背負い、さらなる進化を目指す。

取材・文●古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

【PHOTO】クラモフスキー監督を招聘し新スタイル確立へ!清水エスパルスの歴代ユニホームを一挙振り返り!