今から約19年前にオランダのサッカーファンを魅了した小野伸二を、当時の指揮官が語った。

 日本サッカー界が生んだ稀代の天才は、浦和レッズでプロキャリア4年目を迎えていた2001年の夏にオランダの古豪フェイエノールトへ移籍。その卓越した技巧と十八番の“ベルベットパス”など抜群のパスセンスでチームを牽引し、1年目にはUEFAカップ制覇に貢献した。

 06年の1月に浦和へ復帰するまで、フェイエノールトの絶対的な主力として君臨した小野について、「信じられないほどに素晴らしかった」と褒めちぎるのは、当時の指揮官であるベルト・ファン・マルバイクだ。オランダのサッカー専門誌「Voetbal International」で、こう語っている。

「オノは誰もが思っていたよりもはるかに優れた選手だった。きっとクールなテクニシャンとして記憶されているが、前からの守備も上手かった」
 
 小野の攻守における貢献を絶賛したオランダ人指揮官。一方で、相次ぐ故障に見舞われた日本代表MFのキャリアについては、シビアな見解を示した。

「日本代表は毎回にように、オノを呼び戻した。それで私は時差(7〜8時間)や12〜13時間のフライトについて指摘するようになった。これは彼のキャリアで長きにわたって怪我に影響をもたらすことになった。もしも、代表への派遣義務がなければ、彼はもっと素晴らしい選手にもなれた。より良い進歩を遂げていた」

 後にオランダ代表を指揮し、ヴェスレイ・スナイデルやアリエン・ロッベン、ロビン・ファン・ペルシといった世界有数の名手たちを指導したファン・マルバイクは、最後にこうも語った。

「私はこれまでに幾度となく言ってきたが、シンジ・オノは今まで見てきた選手の中で最高の選手だ」

 現在もJ2の琉球FCでキャリアを続けている小野。彼が残した輝かしいプレーは、名将の脳裏に今も焼き付いているようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部