J1の横浜F・マリノスは6月1日、チームの全体トレーニングを再開。練習後、オンラインでの取材に応じた仲川輝人は、報道陣から「誰かの変化に驚いたことは?」と質問されると、「特にないですけど、喜田(拓也)の髪型がちょっと似合っていないぐらいですかね」と応じた。

 たしかに喜田のヘアスタイルは、中断前のそれから大きく変化していた。強めのパーマをかけて、だいぶ印象が変わっている。

 この大胆なイメチェンについて、別件のインタビュー取材で天野純に感想を求めると、笑顔を見せながらこう答えた。

「全然似合っていないですよね、パイナップルみたいで(笑)。全体練習で久々に会って、『マジで似合っていないよ』と言ったんですけど、あいつ、けっこうこだわりが強くて、『いやいや冗談でしょ』みたいな感じで返されて。誰をイメージしているんですかね(笑)。たまに変なことするんですよ、あいつ。前にも、ちょんまげみたいに上の髪の毛だけを結んだりして。今回もそういうケースだと思うんですけど、ちょんまげの時と一緒で、見事にハマっていない(笑)」

 かなり辛辣な評価である。ただ、それもふたりの“強い絆”からくるものだ。「そんな喜田選手とは特別な関係ですよね?」と投げかければ、天野は「間違いない」と力強く言った。
 
 苦楽をともにしてきた、かけがえのない盟友だ。ふたりとも横浜の下部組織出身で、喜田は13年に横浜ユースからトップ昇格し、その1年後、横浜ユースから順天堂大に進学していた天野が大卒ルーキーとして加入する。天野は以前、「試合に出られない時期、キー坊(喜田)とよくランニングしていた」と振り返ったことがあり、それを喜田に伝えると、そうそう、といった具合にうなずき、かつての自分たちの姿を思い浮かべた。

「自分は2年目ぐらいまで全然(試合に)出られなくて、純君も同じような状況で境遇が似ていたんですよ。メンバー外の練習も一緒にたくさんやって、みんなが帰った後、筋トレも一緒にやったし」

 多くの時間を共有し、切磋琢磨してきた。昨季途中に天野がベルギーに旅立つ時も、喜田は「寂しさはあるけど、純君の(サッカーに対する)姿勢や、夢も聞かせてもらっていた身としては、チャレンジしてほしいと思った。だから、思いとどまらせるつもりは一切なかったし、移籍するからには心おきなく行ってほしかった」と背中を押した。
 
 まさに『水魚の交わり』と呼べるような間柄だが、ふたりは中盤でポジションを争うライバル同士でもある。天野も「ポジションが被る部分はある」と認めるが、「ライバルかもしれないけど、そういう想いはないんですよね」と心の内を明かす。

「ライバルとか、そういう見方をしたことがないですね。頼りになるチームメイト。隣にいたら、めちゃくちゃ頼りになるから」

 昨季のリーグ優勝時、ベルギーにいる天野は喜田から報告を受けた。「その時、日本に帰るつもりはまったくなかったけど、『帰った時に優勝しようぜ』って返信しました。普段はそういう話はしないんですけど、たまにふたりでそうやって連絡を取り合ったり。まあ、言葉はいらない、っていうのかな」と、喜田との関係性について教えてくれた。

 言葉はいらない――それは喜田の感じ方ともシンクロする。天野の欧州挑戦の際、喜田は次のようにも語っていた。
 
「ほんと、これまでいろいろあったので……。プロ入りしてから、ずっと一緒にやってきた。そのすべてを見てきた。一緒に歩んできて、純君の姿を近くで見てきて、お互いに高め合ってきた。何か言葉があったかというと、そうではない。言葉がなくても、自分は分かっているし、純君も同じ想いでいてくれたら嬉しいですね」

 揺るぎない信頼関係で結ばれた天野と喜田が、ピッチ上でどんな共演を見せるか。「帰った時に優勝しようぜ」。その約束を果たしたい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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