『2度目の開幕戦』に向けた磐田の調整は順調のようだ。

 フェルナンド・フベロ監督はここまで徐々に練習強度を上げることで、選手のコンディションを上げてきている。長期離脱をしていたFW中野誠也とMF今野泰幸も完全復帰し、軽い怪我を抱えている選手はいるが、体調も陣容もほぼ万全な状態で京都戦を迎える。

 戦術理解も深まった。中断期に、昨秋就任したフベロ監督が植えつけているサッカーにじっくり取り組んだ成果は、トレーニングマッチのピッチにも表われている。そのひとつが、フベロサッカーのベースとなるポゼッションがより安定してきていること。選手たちも実感しているチームの成長点だ。

「ボールの回し方が前に比べてテンポ良くスムーズになってきている。(選手の)立ち位置や距離感、バランスが良くなっていて、敵守備を崩せた場面も多い。相手を疲れさせるという点でも、ボールをスムーズに動かすことは大事になる」とMF松本昌也。MF山田大記も「どうボールを動かすのか、人が動くのか、整理されてきている」と話す。

 チーム活動再開後の沼津、岐阜との練習試合で、磐田は合計8得点を挙げ完封で連勝した 。(20日の清水戦は完全非公開)。増えているのは、ポゼッションをしながら一気にサイドに展開するロングボールや、鋭い縦パスだ。「ボールを持っている時はしっかりとサイドの幅を使う。それによってウラのスペースもできる。そのために長短のパスを織りまぜることを求めているが、選手たちはそれも理解してきている」とフベロ監督。

 相手ボールになった瞬間に守備を発動させて即座に奪い返す戦術は、ショートカウンターを仕掛けるだけではなく、ポゼッション率を上げてゲームを支配するためにも、フベロ監督が就任以来徹底していること。フベロ監督は「まずはボールを失わないことが重要だが、奪い返す意識も良くなっているという実感がある」と、その点でも進化を感じとっている。
 
 夏場の連戦下では体力との兼ね合いもあり、ボール奪取のためのアグレッシブな守備をどれだけ維持できるかが勝利の鍵のひとつとなりそうだが、松本が「最初から引かずに奪う意識を常に持つ中で、たとえば試合終盤でキツくなった時にどういう守備をするのかをみんなで共有し、ブロックを作るなど工夫してやっていきたい」と話すように、選手たちは過密日程を睨んでの対策も意識している。再開後は、ゲーム運びにも注目したい。

「戦術練習はふたつの種類がある。ひとつは相手に関係なく自分たちのサッカーをより良くするためのもの。もうひとつは対戦相手についての対策を仕込むもの。そのふたつをしっかりやっていかなければならない」とフベロ監督。前者の基本戦術や共通理解が、前述してきたように深まり、昨季からのレギュラーだけではなく、ルーキーを含めた全選手に浸透し、「誰が出ても同じことができるようになっている」(山田)ことは、今後に向けたチームの最も大きな力と言える。そのなかで頭角を現わし、開幕戦の先発メンバーを脅かしているMF伊藤洋輝やFW三木直土ら若手の活躍、チームにもたらす変化は、楽しみなところだ。

「昇格のポイントは、シーズンを通じてチームとしてどれだけ安定したパフォーマンスができるかにある。まだまだ改善すべきところは多いが、しっかり修正をしながら進みたい。試合をこなすにつれプレッシャーがかかるが、それを跳ね返す強い精神力を持ち、常に自信を失わず、自分たちのやるべきことをやる。自分たちのすべてを出す。それができたチームが昇格することができる」とフベロ監督。攻守に強度が増したチームは、「手ごわい相手」(監督)である京都との戦いで勝点3を持ち帰ることをステップに、スタートダッシュを期している。

取材・文●高橋のぶこ

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