1994年6月28日、ワールドカップの歴史に新たな金字塔が打ち立てられた。

 アメリカ・ワールドカップのグループリーグ、ロシア対カメルーン戦だ。前半だけで敵のエースFWオレグ・サレンコにハットリックを許して0−3とリードされたカメルーンは、後半頭から“英雄”ロジェ・ミラをピッチに投入する。そしてミラはその直後、ペナルティエリア内にボールを運んで粘りに粘り、右足でゴールを決めてみせたのだ。

 42歳と39日でのワールドカップ最年長出場を果たし、4年前のイタリア大会で記録した最年長得点記録を更新。最年長出場記録のほうは2014年ブラジル・ワールドカップでコロンビア代表GKファリド・モンドラゴンに破られ(43歳と3日)、さらに2018年ロシア・ワールドカップでエジプト代表GKエサム・エル=ハダリによって更新された(45歳と161日)。だが、最年長得点記録は26年間に渡ってミラが保持し続けている。なにせ40歳以上で得点を挙げた選手が、ミラだけなのだ。

 26周年にあたる6月28日、68歳はFIFA公式サイトのインタビューに応じて当時を振り返った。「いまでは本当に、本当に誇りに思っている」とワールドカップ通算5得点のレジェンドは感慨深げに話し、次のように続けた。

「結果的に大敗(1−6)を喫した試合だから、当時は正直あまりゴールも記録も喜べるものではなかったけど、いまは本当に光栄に思っている。私はあのゴールで、懐疑的な目を向けていた連中に実力を示すことができたんだ。たしかに100%のフィジカルではなかったけど、テクニックではまだ十分通用すると信じて大会に臨んでいたからね」

 一方で、代表キャリアでのベストゴールかと問われると「ノー、それはない」とキッパリ。「あの4年前にカメルーンはアフリカ勢で初のワールドカップ・ベスト8に進出した。それを決めたゴールには適わないよ」と回想した。1990年イタリア・ワールドカップのラウンド・オブ16、コロンビア戦。0−0で迎えた延長後半、相手GKレネ・イギータからボールを奪取して決めるなどミラは2得点を挙げ、歓喜の腰振りダンスを披露した。

 
 では、いつの日か「42歳と39日」が破られる瞬間は訪れるのだろうか。

「どんなことだって不可能じゃないけど、かなり難しいのは間違いないね。いまやフットボールは大きく様変わりし、ゴールキーパー以外で42歳の選手がワールドカップの舞台に立つこと自体が困難だ。みなさんご存じの通り、キーパーがゴールを決めるのは至難の業。まだしばらくは大丈夫なんじゃないかな」

 ちなみに26年前のロシア対カメルーン戦ではもうひとつ、現在に至る最多記録が生まれた。結局サレンコはその試合で5得点を奪い、ワールドカップでの「1試合最多得点者」となったのである。ミラは「本当にワールドカップというのはなにが起こるか分からないね。試合後にふたりで一緒に撮った写真は良い思い出だよ」と振り返った。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【写真】26年前の貴重な一枚! ミラ&サレンコの“W杯記録ホルダー”2ショットはこちら!