前人未到の大記録を打ち立てたガンバ大阪のスーパーレジェンド、遠藤保仁。先週末の大阪ダービーで新記録となるJ1出場632試合を達成し、水曜日の名古屋グランパス戦でも途中出場で大いに存在を示した。

 40歳となったいまも、老いてますます盛ん。本誌「サッカーダイジェスト」の最新号ではそんな鉄人・ヤットの一大特集を組んでいる。独占ロングインタビューでは自身の哲学、流儀、真髄について赤裸々に語ってもらっているが、今回はそのなかから、日本サッカー界の次代を担うヤングタレントたちへの提言とエールを紹介しよう。話題はいまをときめく、マジョルカの久保建英にも及んだ。

 若手に対して特大の期待を寄せる名ボランチは、少し物足りなさを感じているという。「なんかこう、真面目すぎるのかな」と切り出し、次のように言葉を紡いだ。

「もちろん私生活とかじゃなくて、プレーに対してね。これをしないとアカン、これをしなさいって言われすぎてるのかもしれない。それは分かるんだけど、だとしてももっと自分の色を出してほしい。

 対戦相手でもそう思う。全員がハードワークしないとダメだ、球際で戦わなきゃとかに意識が行きすぎてる。自分はもっとカッコ良くセクシーにプレーしたいんです、って選手が出てきてもいいよね。球際で勝てば、試合に勝てるのかってところよ。先に行きすぎてるような気がする」

 
 さらにヤットは「自分のとこに来たら全部シュートに行くんじゃなくて、周りも使いながら、遊び心を持ってトリッキーにやってもいい。相手のゴール前ならね。もっと好きなように、自分が思うようにやればいいのになって」と力を込める。そして自然と口に出たのが、若き俊英の名だった。

「久保くんにはね、その遊び心のところですごく感じる部分がある。相手をいなしてやりたいんやろなって。ホントにすごいよ、あの年で。去年までJリーグにいたけど、もうすでにチンチンにしてたからね。ちょっとブラジルっぽいプレーもするし、ああいう日本人の若手はいないでしょ。遊んでやろうみたいな。

 アキ(家長昭博)とかも若い頃から独特で、相手が寄せて来たらはたくし、来なければなんでもできますよ、みたいなところがあった。でも大半の若手は、目の前に敵がいても簡単にシュートを選択しがち。どこかみんなバタバタしている感じがする」
 やはりヤットの根底にあるのは、娯楽性の高いサッカーへのリスペクトだ。

「トレンドに乗っかるだけがサッカーじゃない。いまはどうしても、全部がそっちに寄せていきすぎな気がする。いつどこで点が生まれるか。そんなチーム、そんな選手が個人的にはもっともっと増えてほしいなって思う」

 価値観における世代間ギャップはあるにせよ、生き字引・遠藤保仁の言葉には、スタープレーヤーへと成長を遂げるためのヒントが隠されているはずだ。

取材・文●川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)