見慣れない光景だった。7月12日のFC東京戦、試合が始まってしばらくしてから、横浜側のベンチが画面に映る。そこには、マスクをして戦況を見つめる仲川輝人の姿があった。

「(ベンチスタートは)久々だったので、途中から入っていかにトップパフォーマンスを出せるかを、アップの段階から考えていましたね。一体感を出すためにも、チームを盛り上げる声かけも意識していました」

 ゼロックス、ACLの2試合、リーグ戦の3試合と、ここまでの公式戦すべて先発出場だったが、FC東京戦はスタメンから外れた。おそらくは、過密日程による疲労を考慮されてのことだろう。

 絶対的なエースは、1-3とビハインドを背負っていた63分に投入される。最初は左ウイング、途中から主戦場の右ウイングでプレー。スムーズに試合に入り、キレのある動きで相手に圧力をかけていく。

 そして、79分にはビッグチャンスが訪れる。ティーラトンのクロスに飛び込み、ダイレクトでシュート。決まったかに思われたが、ボールは残念ながらバーの上を越えていく。今季はACLのシドニーFCで、鮮やかなループシュートを含む2得点を記録しているが、J1ではいまだノーゴール。ただ、リーグ再開後は、いずれの試合でも必ず決定機に絡み、良い形でフィニッシュに持ち込めている。本人も好感触を掴んでいる。

「外したのは自分が悪いけど、“そこ”に入れているし、来るなと思っていたので。あとは決めるだけだった。自分の技術がなかっただけ。そこを上手く修正していければ、点は取れると思う」
 
 修正という意味では、自分たちの失点に関しても言及。FC東京戦は結局、1-3のまま終了。4分に遠藤渓太のゴールで幸先良く先制したが、17分にPKで同点に追いつかれ、45+1分にFKを決められて、さらに46分に一瞬の隙を突かれて3点目を奪われた。

「前半終了間際と後半の開始。そこで失点すると、やっぱり難しくなる。そこは集中して1-1でいければ良かった。修正していきたい」

 いずれにしても、仲川自身に関しては、まずは目に見える結果を出して勢いに乗りたい。「もう近づいている」という確かな予感もある。「(FC東京戦で)決めるって言ったんですけどね(笑)」と自嘲気味に笑いつつ、「次こそは、はい。決めます」と表情を引き締める。

 次節は、7月18日のアウェー鹿島戦。前節のFC東京戦はベンチスタートで悔しい想いをしたかもしれないが、その分、身体は休められたはず。自らのゴールで勝点3を手繰り寄せられるか。お馴染みの両手の人差し指を空に掲げる姿を期待したい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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