現代サッカー界でも指折りの“強面”として挙げられるのが、元スウェーデン代表FWのズラタン・イブラヒモビッチだろう。

 幼少期にサッカーとともに続けていたテコンドーの有段者でもあるバックボーンもあるが、何よりも他を圧倒するパーソナリティーと言動力を持ち、周囲を威圧する独特のオーラをまとっている。

 そんな誰もが恐れるスウェーデンの英雄に食って掛かった男がいる。アルゼンチン代表DFのマルコス・ロホだ。

 2016年の夏から約2年に渡ってマンチェスター・ユナイテッドでイブラヒモビッチとチームメイトだったロホは、現地時間8月4日に母国紙『Infobae』のインタビューで、ある試合で起きた“事件”について語った。

「彼は真の勝者だから、本当に全てのボールを欲しがるんだ。僕はオールド・トラフォードでのある試合で、1-0で勝っている前半にズラタンにボールを渡さずに、フリーのポグバにパスをした時があった。すると、彼は僕のことを露骨に罵り始めたんだよ。『このクソッタレ』とかを英語とスペイン語でね。だからこっちも腹が立ってつい口走ってしまったんだ……。『黙れよ! デカッ鼻。欲しがり過ぎなんだよ』ってね」

「普段は大人しくて、ジョークを言うのが好きなんだ」と自己分析するロホだが、イブラヒモビッチにこけにされ、堪忍袋の緒が切れてしまったのだろう。
 
 それでも「彼に捕まったら、間違いなく殺される」と後に引けなくなったロホは、ハーフタイムのロッカールームでも強気に振る舞ったという。

「ズラタンはロッカールームに戻ってくるや、『おい、お前、さっきに俺になんて言った?』と聞いてきたんだ。だから僕も黙るように言い返したんだ。引いたらやられると思ってね。そこに止めに入ったモウリーニョ(当時の監督)がボトルを投げて、事態は収拾したよ」

 イブラヒモビッチの8歳年下のDFは、その後の顛末についても話している。

「翌日、僕は早めに練習場に来て、とることが義務になっていた朝食を早めに済まそうとしていた。そこに彼がやってきて、背後から僕の首根っこを掴んで、『おい、お前、俺になんて言ったんだ?』とニヤッと笑って横に座ったんだ。もちろん、和解の意味だったんだけど、あの時ばかりは、本当に『終わった』と思ったね」

 だが、この件をキッカケにイブラヒモビッチとの関係が深まり、「一緒に行動することが多くなった」という。ロホにとっては、怪我の功名と言える出来事だったのかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部