[J1リーグ第9節]G大阪 2−1 横浜FC/8月8日/パナスタ

 ミラクルな快勝劇に、本拠地パナスタは熱狂のるつぼと化した。

 ガンバ大阪は土曜日、ホームに横浜FCを迎えて2−1の快勝を収めた。幸先良く前半のうちに先制点を奪って優位にゲームを進めるも、60分に連携ミスから同点とされると完全にペースを崩し、防戦一方の展開に。攻撃のカードを切ってパワープレーを仕掛けてもゴールは遠いままだったが、後半アディショナルタイム4分、左CKからパトリックが豪快ヘッドとねじ込んで勝ち越しに成功。まさにワンチャンス、ラストプレーでの勝点3ゲットとなった。

 その試合で、移籍後初となるJ1での先発を飾ったのが、日本代表DF昌子源である。前所属のトゥールーズ時代から怪我に苦しみ、春の入団後もリハビリに励む毎日を過ごした。初夏になってようやく全体練習に合流。水曜日のルヴァンカップ・大分トリニータ戦でおよそ1年ぶりの実戦復帰を果たし、64分間プレーしたばかりだった。
 
 中2日での連続スタメン。宮本恒靖監督は「大分戦からのリバウンドがなく、本人も問題ないということだったので決断しました」と説明し、「この連戦が続くなか、どこかでリーグ戦のスタメンで使いたい、その順序を踏まないといけない。いろんな要因があってのスタートです」と続けた。

 昌子自身も指揮官が寄せる特大の期待を、意気に感じたようだ。「大分戦がもう11か月ぶりくらいの公式戦で、中2日の試合ってなると何年ぶりかなってくらい」と苦笑しながらも、「確かに自分のなかで身体がいつもより重く感じたけど、声を出すだったり味方を動かすだったり、チームの雰囲気を常に上に保つ役割が求められてたと思う。今日はそれをすごく意識した」と力を込める。

 披露したのは、圧巻のパフォーマンスだった。三浦弦太、キム・ヨングォンを両脇に従えて3バックの中央に陣取り、激しいチャージとクールなライン操舵で瞬く間に掌握。横浜FCの縦へのクサビに対してノーファウルでボールをからめ取る妙技も見せ、別格と形容できる存在感を示した。
 指揮官も認める通り、急造3バックでのスタートはひとつの賭けだった。だがこれは開幕前から想定されていたベストセットであり、それぞれが一騎当千にして、代表チームでもディフェンスリーダーをこなせる実力者だ。Jリーグ最強の3バックが、ようやく本格始動したのである。

 ぶっつけ本番のファーストセッションで、昌子はどんな手応えを得たのだろうか。

「3バックはどの位置でやるにしても、みんなでコントロールしないといけない。そのうえで両脇のカバーとか、統率のところが真ん中には問われる。大分戦では高尾(瑠)、松田(陸)と組みましたけど、彼らは若くて経験も少ないので、僕がこうしろああしろと言った部分に率直に動いてくれた。でも弦太とヨングォンは違う。それぞれにスタイルが確立されている。僕が動かすんじゃなくて、彼らにまずはさせて僕のところで回収するとか、僕がこうするからこうしてほしいとか、そんなことを意識しながらプレーしてましたね。3人でやったのは練習でもほとんどなくて、確かにぶっつけ本番に近かった。それでも能力が高いから……。活かし活かされながらやっていければと思う」

 宮本監督も「コンビネーションであったり、構えた時の守備の仕方であったりは、もっとスムーズさが必要かなと思いました。これはある程度の時間が必要。それでもお互いがコミュニケーションを取って、試合中に修正するところも見られた。(観客が少ないため)声が通るところも、それぞれが上手く活用していましたね」と感想を述べ、45分間でも厳しければ交代させようと考えていた昌子をフルタイム起用した。
 
 ただ、1点をリードして着実にゲームプランを遂行していたG大阪だったが、60分にミスから失点を許し、ずるずると全体のラインを下げてしまったのはいただけない。

 昌子は「後半の闘い方は苦しかったし、それはチームのみんなが思ってることでしょう」と反省の弁を述べ、「とにかく、『自分たちから悪くするな!』って言葉を掛け続けました。自分たちのミスから悪い展開になってしまったけど、そこで沈むんじゃなくて、自分たちから悪くするのだけはやめようと。そこの声掛けはずっとしてましたね」と振り返る。
 G大阪ジュニアユース出身だ。米子北高校でメキメキと頭角を現わし、鹿島アントラーズに入団。ほどなくJリーグを代表する守備者へと成長を遂げていった。そして今春、12年ぶりに青と黒のユニホームに袖を通し、横浜FC戦でパナスタでの“本拠地デビュー”を飾ったのである。

「うーん、やっぱり特別な感情が自分のなかでもありますよ。結果的に勝利できたし、僕個人としてはここでは無敗なんで、相性の良いスタジアムだと思います。これからも極力継続できるように、ガンバのユニホームを着て戦っていければなと思います」

 リモート会見の最後に、しみじみと「なによりもサッカーができる楽しさを感じられた90分間でした」と語った27歳。6年ぶりのJ1制覇を本気で狙う宮本ガンバにあって、頼もしき“闘魂”が復活を果たした。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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