今季の湘南ベルマーレは1点差に泣いている。

 ここまでのJ1リーグ9試合の戦績は1勝1分7敗。7敗のうち、1点差負けが6試合もある。内訳は「0−1」の負けがベガルタ仙台戦(2節)、セレッソ大阪戦(8節)、サンフレッチェ広島戦(9節)の3試合。「2−3」の1点差負けが、浦和レッズ戦(1節)、横浜F・マリノス戦(3節)、柏レイソル戦(5節)の3試合で、いずれの試合も先制しながら逆転で敗れている。なお唯一の2点差負けとなった7節の川崎フロンターレ戦(1−3)も先制しながらの敗戦だった。

 ゴール数は横浜FCと並び「8」と下から2番目の少なさ。得点力ともに守備面にも問題を抱えている。

 これまでの15失点を振り返ると仙台戦のように風に乗ってそのまま決まった不運なケースがあれば、横浜戦ではMF天野純、柏戦ではFW神谷優太とこのゲームで絶好調の選手にやられた試合もあった。また前節の広島戦では19歳GK谷晃生を中心に24本もの敵のシュートを凌いだものの、前半終了間際に決められた広島MF浅野雄也のゴールに泣くなど、頑張りが報われないゲームとなった。
 
 全体的に内容はそれほど悪くはないだけに、リーグ最下位という現実はなんとももどかしい。

 それにしてもなぜ、1点差負けが多いのか。そのヒントが8月6日の練習にあった。ミニゲームで、左サイドからドリブルを仕掛けられた際、対応した選手が簡単にシュートを打たれ、決められてしまった。その瞬間、「そこなんだよ!」と浮嶋敏監督が寄せの甘さを厳しく指摘した。

 後日会見で浮嶋監督はこのシーンを踏まえ、チームの現状について「ピンチを防ぎ、チャンスで決めることが結果につながっていく。たとえ全般的に良い試合をしても、際(きわ)のところが緩ければ、結果は出ない。1点差のゲームではその際(きわ)が大事」と強調した。『神は細部に宿る』というように、些細なプレーの積み重ねが最終的に勝点につながるということだろう。
 チーム最年長FWの石原直樹は、攻守両面での問題点をこう指摘した。

「例えばここを抜ければチャンスになる1本のパスを通せるのか、狙おうとしてやめたのか、そもそも狙ってないのか、そう思うシーンが多い。ここを通せば、相手が嫌だろうなというイメージができているかどうか。最初の選択肢がバックパスだと相手の圧力がそのまま(後ろに)かかってしまう。選択肢に前に出す努力があるかどうか。出せなくてもいいから、出すフリをしただけでも相手の足は止まる。ちょっとしたことだが時間は作れる」

 判断の拙さを語った石原は、さらに2012、13年とリーグ連覇した広島在籍時の経験から「大事なのは一人ひとりがなにを考えてプレーしているか。みんなが同じイメージを持てるかだ」と戦術理解を前提に同じ絵を描き、戦うことの重要性を説いた。
 
 今季の湘南は従来の「全員攻撃・全員守備」に遅攻の要素を取り入れ、バージョンアップを図っている真っ只中。大幅な変更ではないが、共通理解の不一致感が1点差負けという"歯がゆさ"をもたらす原因のひとつだ。

 ただ昨年、湘南は監督交代や台風襲来による練習場の冠水、プレーオフの末にJ1残留と苦難を乗り越えた。負け試合のなかでも、勝つ兆しを感じながら、選手は顔を上げて戦っている。

「苦しい状況に慣れているというか、乗り切るメンタリティーがある」(松田天馬)

「走る、戦う、つながってプレーするなど、もっと僕たちらしい試合をしなければならない。なぜベルマーレでプレーしているのか、どんなプレーをしなければならないのかを整理してピッチに立ちたい」(岡本拓也)

 8月15日に行なわれる次節では、17位の横浜FCと激突する。勝利すれば最下位脱出、そしてひと桁順位の進出の足掛かりとなるだけに、激戦必至の“神奈川ダービー”となりそうだ。

取材・文●佐藤亮太(レッズプレス!!)