橋本拳人と室屋成を移籍で、キャプテンの東慶悟を大怪我で失いながらも、どうにかリーグ戦で3位をキープしている。9月20日の仙台戦も、昨季はJ3が主戦場だった内田宅哉や品田愛斗らの活躍があり、1−0で勝利。長谷川監督の見事な采配・手腕により、ここまで上位に食らいついている戦いぶりはポジティブに映る部分は間違いなくある。

 スタメンをほぼ固定していた昨季よりも、中村拓海、田川亨介なども台頭中の今季は、選手層が明らかに厚みを増した。右サイドで守備にも大きく貢献するようになったディエゴ・オリヴェイラをはじめ、“フォア・ザ・チーム”の精神を体現するプレーヤーも増えて、ひとつの集合体としてよりまとまりが出てきた印象さえある。

 しかし、J1の19試合を終えた時点で首位の川崎とは勝点12差。しかも、FC東京はその川崎よりも消化試合がひとつ多い。ここから奇跡の逆転劇を演じるには、それこそ“風”が不可欠だ。

 振り返れば、2014年シーズン、長谷川健太監督が率いたG大阪は首位との勝点14差をひっくり返してリーグ優勝し、さらにルヴァンカップ、天皇杯も含め最終的に国内3冠の偉業を成し遂げた。この時の戦いぶりを指揮官は「チームに一体感があって、だんだん風が吹いてきた」と表現していた。
 
 今季、その長谷川監督の下で戦うFC東京にとって最大のターニングポイントになりそうなのが川崎とのルヴァンカップ準決勝(10月7日)だろう。もちろん、2位・C大阪との直接対決(9月23日)も重要だが、現実的にタイトル獲得へと一歩近づくという意味で次回の多摩川クラシコをそのように位置付けてみた。実際、2014年当時のG大阪もルヴァンカップでの勝ち上がりをきっかけに一層の弾みをつけたことを考えると、このカップ戦の戦いは少なくとも軽視できない。

 今の川崎に真っ向勝負を挑むのは得策ではない。ならば、どこに勝機を見出すか。こういうシチュエーションでこそ、長谷川監督は勝負師としての本領を発揮してくれそうな気がする。

 “川崎エクスプレス”は今やそう簡単に止まらない。ただ、FC東京がルヴァンカップ準決勝で彼らに土をつければ──。もしかすると、そこから大きな風が吹く可能性はある。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)