異様な試合と化したフランス版クラシコ(パリ・サンジェルマン対マルセイユ)の「ネイマール対アルバロ・ゴンサレス事件」をめぐって、世界中のメディアを巻き込んだ人種差別および、同性愛者差別の追及合戦が続いている。そして今度は、最も予想外の人種差別疑惑が飛び出してしまった。

 犠牲者と推定されるのは、なんと日本代表DFの酒井宏樹だ。

 フランスのサイト『FOOT MERCATO』が現地時間22日朝に速報したところによると、スペインのラジオ『Cadena COPE』が21日夜、「オランピック・ド・マルセイユは、ネイマールがヒロキ・サカイを『クソ中国人』と表現した証拠を握っている」と報道したという。

 これが本当だとすれば、酒井宏樹が差別の犠牲になったばかりか、中国人も含むアジア人全体が差別されたことになる。

 この試合でネイマールは、「汚いサルと言われた」「人種差別だ」とアルバロ・ゴンサレスをしきりに糾弾。パリSGはネイマールを公式に支持し、アルバロにはブラジルなどから死の脅迫まで届く異常事態に発展してしまった。

 一方のマルセイユは、「アルバロは人種差別者ではない」と公式に否定して徹底抗戦。本人も非公式な場で、口撃はしたが差別用語は吐いていないと告白したと言われ、チームメイトも一丸となってアルバロに連帯した。

 また、ビジャレアル時代のチームメイトであるカメルーン代表FWカール・トコ・エカンビ(リヨン)など他クラブの黒人選手まで、「スペインで一緒だったが、アルバロは人種差別とは無縁の人物」と擁護する事態になった。

 さらにはネイマールが、当のゴンサレスに対し、同性愛者差別用語を吐いていた疑惑が浮上。こちらはビデオで確認できたと報道されている。

 これが事実だとすれば、たとえアルバロが同性愛者でなくても、差別の犠牲になったとみなせるうえ、同性愛者も差別されたことになる。
 フランス・フットボール連盟(FFF)のディシプリン委員会は現在、この問題で全ての「証拠」を鋭意調査中。早ければ1~2週間後に、ネイマールとアルバロについて裁断を下すことになっている。

 フランスでは人種差別も同性愛者差別も、証拠が揃った場合は厳罰となる。FFFの規則では、最悪10試合の出場停止処分を科せられる可能性がある。また証拠が不十分なら、「推定無罪」の原則が適用されることになる。

 そこへ今回の「酒井事件」。何やらネイマールには疑惑が何重にものしかかってきた。

取材・文●結城麻里

【動画】ネイマールがアルバロの頭を叩いた問題のシーンはこちら