タケ・クボ(久保建英)がかかわると何かにつけて大騒ぎになる。周囲の期待が大きく、レアル・マドリーの影響下にあるなどの様々な事情が彼を「特別な存在」にしているのだろう。

 開幕してからしばらくベンチスタートが続いた時も、そのウナイ・エメリ監督の采配に反発する形で、お膝元のマドリー寄りのメディアを中心に待望論が沸き起こった。そしてヨーロッパリーグ(EL)の開幕に伴いスタメン出場が増え、てっきり事態が鎮静化に向かうと思ったら、これまた見込み違いだった。

 どうやらタケの周囲の人間は、今シーズンを学びの1年と位置づけ、徐々に出場機会を増やしていくという考えは持ち合わせていないらしい。

 たしかに現時点でのタケの立ち位置は、バックアッパーだ。とりわけアタッカー陣の定位置争いは熾烈で、スタメンで出場すること自体決して簡単なことではない。

 もっとも、ELではこれまで4戦続けてスタメンで出場。これから連戦が続くことから、アピール次第で、その頻度が増やすことは可能なはずだ。

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 一方、保有元のマドリーも、タケの取り組みぶりを評価しており、ラ・リーガでベンチスタートが続いていることについても、理想的な状況でないとはいえ、過酷な競争に身を置くことによるプラスの効果も期待している。しかしタケの周囲の人間は、現状に満足していない様子で、それが今週の『El Periodico Mediterraneo』紙の退団報道に繋がったようだ。

 もっとも、現段階では全く白紙の状況にある。実際、ビジャレアルの関係者によれば、マドリー、タケいずれのサイドからもそうしたアプローチはなく、今回の騒動は寝耳に水だったという。

 タケの周囲の人間からすれば、後半戦に向けて流れが変わるきっかけになればという観測気球を上げた程度の動きだったのかもしれない。実際に移籍を画策し、交渉へと発展させるには、当然ながらタケが志願することが大前提となる。そのうえで、ビジャレアルで希望する出場機会を得られないという結論をもとに新たなレンタル先を探し出し、マドリーとビジャレアルの双方に提示する必要がある。

 ただそこでマドリーから承諾を得ても、来年6月まで譲渡を受けるという条件で迎え入れ、対価としてレンタル料金を支払っているビジャレアルがゴーサインを出さなければ、実現は不可能だ。

文●ハビエル・マタ(アス紙ビジャレアル番)
翻訳●下村正幸