タケ・クボ(久保建英)がヘタフェ加入後、初スタメンを飾ったウエスカ戦で、ホセ・ボルダラス仕様のサッカーを体現して、1−0の勝利に貢献した。この日が初陣だった敵将のパチェタは5−4−1を採用。守りを固める相手に対し、タケは攻守で責任を果たした。ボルダラス監督は試合後、こう称賛を送っている。

「彼と話をした。彼熱意を持ってここにやって来た。その才能やプレーを披露してほしいと伝えたよ。今日はエリア付近に顔を出すことが少なかった。だからハーフタイムに後半はもっと中に入ってプレーするよう指示した。守備面で犠牲精神を見せ、(右SBの)ダミアン(スアレス)をサポートしていたよね。見事に適合してくれた」

 タケが入ったのは4−2−3−1の2列目の右サイド。特に前半はワントップのハイメ・マタの背後はカルレス・アレニャが主にカバーし、タケは右サイドに張ってプレーした。これまで4−4−2がヘタフェのメインシステムだったが、前節のエルチェ戦に続く4−2−3−1の採用についてボルダラス監督は、その新戦力2人の攻撃力を活かす意図があることを明かしている。

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 タケが対面のハビ・ガランに1対1の勝負に挑み始めたのは前半10分過ぎから。最初の見せ場は、ペナルティエリア内で競り合ってヘディングした場面。徐々に身体が温まっていった印象で、方向づけしたボールコントロールからボディフェイントを駆使したドリブルで相手に脅威を与えた。

 カーニョ(股抜き)を見せるなど果敢に突破を図り、今後もタケのドリブルは、ヘタフェの攻撃に推進力をもたらす貴重なオプションとなりそうだ。

 ボルダラス監督とチームメイトの信頼の高さを感じさせたのがセットプレーの場面だ。18分、チームの重鎮の一人で、これまでその役割を担っていた1人のダミアン・スアレスが見守る中、ボールを置き直接FKを蹴った。鋭いコントロールショットは相手アルバロ・フェルナンデスに惜しくも弾かれたが、その後もキッカーを任され、再び惜しいシュートを放つなど左足の精度の高さを見せつけた。

 ボルダラス監督が評価したように、攻撃面以上に光ったのは守備面での働きだ。繰り返し自陣深い位置まで戻りダミアン・スアレスをサポート。タクティカルファールで3度相手の攻撃の流れを断ち切ったのは、その献身性の高さの表われだ。

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 後半、ボルダラス監督の指示もあり、ポジションをより中央寄りに移動。ただその分、ドリブル突破を図る頻度は減り、前半ほど輝きを放つことはなかった。これはゴールを背にしてパスを受ける機会が多くなり、そこからドリブルに移行するのに手間取ったためでもあるだろう。

 より素早いターン技術を習得しない限り、やはりサイドのほうがドリブルを仕掛けやすそうだ。80分に交代を命じられると、監督やチームメイトたちの祝福を受けながらベンチに戻り、その後の戦況を見守った。

 勝利したとはいえ、内容的にはいかにもヘタフェらしい拮抗したじりじりとした展開だった。改めて明らかになったのは、ヘタフェでは自らドリブルを仕掛けると同時に、相手のドリブルを封じる働きも求められること。攻撃的な選手が守備に奔走するあまり、持ち味を発揮できないというケースは多々ある。

 タケの場合も、ペナルティエリアから離れてしまうとドリブルの威力が減少することは否めず、その兼ね合いをどうするかは今後の活躍のポイントとなりそうだ。

文●ラディスラオ・ハビエル・モニーノ(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸